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パンデミックにより備蓄米を慈善用途に開放するよう圧力が加わる日本

見過ごされがちな日本の貧困をパンデミックが浮き彫りにした。(資料/AFP通信)
見過ごされがちな日本の貧困をパンデミックが浮き彫りにした。(資料/AFP通信)
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21 Feb 2021 09:02:34 GMT9
21 Feb 2021 09:02:34 GMT9
  • 日本の貧困率は15.7%を示している
  • 古い米は餌として販売されながら、国中の倉庫で約100万トンのローリングストックが確保されている。

東京:あゆみさんが去年の夏、レストランのアルバイトとしての職を失ったとき、彼女は通っている大学に月に一度フードバンクから届けられる、米と個包装された食料に頼ることとなった。

「食事を午後3時ごろの一日一回に減らしました、」と22歳の彼女は言った。「友達の多くも同じ状況でした、コロナで影響を受けた飲食店で働いていたのです。」

失業が急激に増える中、日本では食料配布の必要性が急激に高まったことで、政府から備蓄米が慈善団体に去年5月に初めて開放された。また別の拡大された計画も今月から始まっている。

経済協力開発機構(OECD)によると世界で第三位の経済規模を誇りながら、貧困率は15.7%を示す、見落とされがちな日本の貧困がパンデミックで浮き彫りとなった。

これに加えて2020年は求職者あたりの平均有効求人数がここ45年間で最大の下落を見せ、同時に平均失業率がこの11年で初めて上昇した。

だが備蓄米を慈善用途で開放する政府の動きは子供の為に使うという条件があり、それが開放の効果を制限するのではないかと慈善活動者達は恐れ、規則の緩和を求めている。

「私達は備蓄の使用に関して、使用は市場の供給不足や「食育」目的の場合のみという法律に縛られています。生活保護には使えません、」と農林水産省(MAFF)の職員は語る。

「これが私達にできる範囲です」

1993年の不作により発生した全国での危機的な食糧不足からまもなく、日本は緊急用の備蓄米を保管するという政策を採用した。

「ひびの隙間から落ちる」

古い米は餌として販売されつつ、国中の倉庫で約100万トンのローリングストックが確保されている。農務省(USDA)によると日本は年間約850万トンの米を消費しており、世界の消費国の中でも9位に位置付けられている。

多数のフードバンクが米の一部を開放するよう政府に対して何年も陳情を行ってきたが、備蓄に関する法的な制約がそれを不可能とした。

政府は備蓄米の一部を無償で公立学校に提供してはいるが、これは子供達に日本文化における米の重要性を教える「食育」とみなされている。

だがパンデミックによりほとんどの学校が昨年春に休校を余儀なくされた時、子供達に無料の食事を与える「子ども食堂」として知られる食堂の経営者達は、給食無しでは多くの子供達が飢えていくと主張し、備蓄から無償で米を供給するよう政府を説得する事ができた。

「子供達が最終消費者であれば、『食育』と見なせると思いました、」とMAFFの職員は言った。

象徴的には重要な一歩とみられたが、政府が開放を一慈善団体あたり年間60kgまでという上限を定め、また転売による悪用を防ぐ意味もあり、米は調理済でなければならないと言った為に影響は限定的であった。

結果として、10トン未満が消費された。

貧困家庭に食料を届けるという、比較的新しい慈善事業にむけて計画されたより広範囲な取り組みにより、調理済という条件は今月無くなったが、一団体あたり年間上限300kgという制限が残った。

国内最大のフードバンクであるセカンド・ハーベスト・ジャパンの創立者でCEOのチャールズ・マクジルトン氏は、大手フードバンクが年間で配布する1/60の量であるという推定と共に、300kgの米が「もつのは30分」と言った。

「これだけの米が入手できて2000万人が貧困線以下で生活している国において、300kgというのは馬鹿にしています、」とマクジルトン氏はトムソン・ロイター財団に伝えた。

人々がひびの隙間から落ちていっています。もしそれが法律なら、法律を変えましょう」

米国や欧州の一部の国々では、政府が様々な計画を通してフードバンク団体を活発に支援している。だが日本でMAFFは「農業、林業、漁業の推進」を担当しており、飢饉に取り組む指示も予算も受けていない、と同省の職員は言った。

生活保護の需給が社会的にとても不名誉とされるが為に、多くの人々がこれらの援助を受ける事に二の足を踏んでしまう日本では、食料配布の必要性はパンデミック前の水準から2倍以上となる中で、COVID-19は予想通り状態を悪化させた、

人口1億2600万人中、10分の1が貧困線以下で生活しており、約200万人が生活保護で生活している。

セカンド・ハーベスト・ジャパンによると、人口が東京の半分で200か所の食糧庫がある香港に対して、日本の首都で人口4000万人の東京では、個人が食料を受け取ることができる食糧庫は約40か所存在している。

「政府の最新の取り組みは一歩前進です、」と国民評議会である一般社団法人日本フードバンク協会の総書記、米山広明氏は語る。

「ですが大手のフードバンクは1年で20トン(18,144 kgs)の米を配布しているので、量はかなり少ないです」

苦しい経済状況で寄贈企業からの提供が減少する中、フードバンク団体は貧困者、高齢者、日雇い労働者、そしてあゆみさんのような必死に生きる大学生達に安全網を提供するのにあがき続けている。

「私にとって最も悲痛なのは、そこに利用可能な資源があるというのをわかっている事です、」とマクジルトン氏は言った。

ロイター通信

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