ニューヨーク時事:国連安全保障理事会は12日、「法の支配」をテーマに公開討論を開いた。今月の議長国を務める日本の林芳正外相が主宰。国連憲章などに基づく世界秩序の維持こそが、各国に共通の利益をもたらすとして「法の支配という理念の下に結集しよう」と呼び掛けた。東・南シナ海で力による一方的な現状変更の試みを続ける中国をけん制する狙いもありそうだ。
ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、米欧とロシアの対立が激化し、国連加盟国間では分断が広がる。林氏は演説で「法の支配は普遍的で、陣営を選ぶものでも、中間を取るものでもない」と指摘。分断を克服するためにも「『法の支配のための結集』がわれわれのキーワードでなければならない」と訴えた。
林氏は、法の支配とは、国家間の合意の履行であり「順守されなければ、世界は野蛮な力と威圧のジャングルになる」と警告。国連決議や国際裁判所の判決などに従うよう求めた。
その上で、法の支配は「力で国境を書き換えることを決して許さない」と強調。ウクライナ侵攻を終わらせるための行動を各国に促した。理事国数の拡大など、安保理改革の必要性にも言及した。
討論には国連のグテレス事務総長も出席。「法の支配は核軍縮から気候変動、(感染症の)パンデミック(世界的大流行)まで諸課題に対処するために欠かせない」と語った。
時事通信