
警察庁は2日、全国の警察が昨年把握(認知)したオレオレ詐欺など特殊詐欺の状況(暫定値)を公表した。
被害額は前年比約79億4000万円増の約361億4000万円で8年ぶりに増加。認知件数は同20.8%増の1万7520件に上り、2年連続で増えた。
新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和され、被害者から現金などを受け取る「受け子」を含めた犯行グループが、全国的に活動を活発化させているとみられる。
手口別の件数では、医療費などの還付に必要な手続きと偽って現金自動預払機(ATM)を操作させ、犯人側の口座に送金させる還付金詐欺が同16.9%増の4679件で最多となった。
還付金詐欺の被害額は同約8億5000万円増の約53億7000万円で、統計のある2006年以降で最も多かった。
新型コロナの影響で、医療費への関心が高まっているためとみられる。
被害額が最も多いのは、親族や弁護士を装って事故の示談金名目などで金銭をだまし取るオレオレ詐欺で約127億1000万円。
次いで未払いの料金の請求名目などでだまし取る架空料金請求詐欺の約100億5000万円だった。
事前に個人情報や資産状況などを探る「予兆電話」は前年比2万186件増の12万701件が確認された。
検挙件数は6629件、検挙人数は2469人で、うち犯行グループのリーダーや首謀者らは48人だった。
警察当局は、暴力団や暴走族元構成員らがメンバーとなっている準暴力団が、主導的な立場で深く関与しているとみて、取り締まりを強化している。
時事通信