

中国に返還される東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」(雌、5歳)は19日、最終観覧日を迎えた。愛くるしい姿を一目見ようと、抽選で当たった人をはじめ、大勢の人が午前中から園を訪れ、別れを惜しんだ。
観覧は事前抽選制で、この日の当選枠2600人の倍率は20倍を超え、最終組(100人)の倍率は70倍に上った。展示室では、シャンシャンが移動するたびに歓声や悲鳴が上がり、見終わった後に泣いている人も。最終組観覧後の午後4時50分ごろ、園関係者らが見守る中、展示室のシャッターが下りた。
最終組で観覧した東京都品川区のグラフィックデザイナー水口奈津季さん(37)は「つらい気持ちだが、ありがとうと感謝を伝えてきた。私にとってシャンシャンは親友。勇気をくれて元気にさせてくれた」と涙した。
抽選は外れたものの来園した静岡県富士宮市の出口晴美さん(78)は「そばにいたいという思いで来た。5年間幸せと笑顔をもらった」と語った。
同園の大橋直哉教育普及課長(48)は「多くの人が来てくれて、皆さんのシャンシャンを愛する気持ちがひしひしと伝わった。シャンシャンは普段よりも活発に動いていた。サービス精神満点だから、何かを感じ取ったのかな」と話した。
シャンシャンは2017年6月、父リーリーと母シンシンの間に誕生。同9月にシャンシャン(香香)と命名され、同12月に一般公開されると人気を集め、連日行列ができた。同園で生まれ、順調に育ったのは1988年のユウユウ以来だった。
リーリーとシンシンは中国から貸与されており、子のシャンシャンの所有権も中国にある。当初は20年12月に返還される予定だったが、コロナ禍で5回延期した上で、今月21日に返還されることになった。
時事通信