
ソウル:韓国、米国、日本は国際社会に対し、北朝鮮の核開発の資金源を断つ手段として、同国による労働者国外派遣を禁止しサイバー犯罪を阻止するための取り組みへの支援を強化するよう求めた。
韓米日の北朝鮮核問題担当高官は7日、ソウルで4ヶ月ぶりに会談を開き、北朝鮮による核開発の脅威の高まりへの対処方法について協議した。北朝鮮が最近相次いでミサイル実験を実施していることから分かるのは、同国は交渉への復帰ではなく、米国とその同盟国を攻撃できるよう設計されたより高度なミサイルの獲得を目指しているということだ。
11回にわたる国連制裁や、パンデミックが引き起こした苦難による経済・食料問題の悪化にもかかわらず、北朝鮮は依然として乏しいリソースの大半をミサイル・核開発につぎ込んでいる。その兵器開発の資金源としては、同国による暗号資産ハッキングなどの違法なサイバー活動や、国連が2019年までの送還を命令したにもかかわらず中国やロシアなどに在留している北朝鮮労働者からの賃金送金が寄与している可能性が高いと専門家は指摘する。
韓国外務省によると、韓米日の高官は共同声明の中で国際社会に対し、北朝鮮による労働者国外派遣の禁止に関する国連決議に完全に従うよう求めた。
同外務省は、世界中で多数の北朝鮮労働者が依然として経済活動に従事しており、彼らが送金する資金が北朝鮮の兵器開発に使用されていると指摘した。また、世界的なコロナ感染状況が改善に向かうにつれて北朝鮮が国境の再開を進める可能性がある中で、韓米日の高官は北朝鮮労働者に対する注意を促そうと努めていると述べた。
韓国の金健(キム・ゴン)朝鮮半島平和交渉本部長は会談の冒頭、テレビ中継されたコメントの中で次のように述べた。「北朝鮮による挑発行為が懲罰を免れることがないようにする必要がある。我々は、北朝鮮による今後の挑発行為に効果的に対処するとともに、違法活動の資金源となっている収入の流れを断つつもりだ」
米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表は、北朝鮮は核・ミサイル開発と「世界中の国や個人を標的とした悪意あるサイバー活動」によって国際社会全体の安定と繁栄を脅かしていると述べた。
韓国国家情報院が昨年12月に発表したところによると、北朝鮮のハッカーは過去5年間で推定12億ドル(1兆5000億ウォン)の暗号資産やその他の仮想資産を盗んだ。昨年だけでその半分以上が盗まれたという。同情報院は、デジタル資産を盗む北朝鮮の能力は世界最高レベルであると考えられるとしたうえで、2017年に核・ミサイル実験を受けて国連が経済制裁が強化して以降、同国がサイバー犯罪に力を入れていることがその理由だと指摘した。
7日に行われた三者会談は北朝鮮を激怒させることになりそうだ。同国は以前、安全保障協力の強化に向けた韓米日の動きは北朝鮮の軍事能力強化を緊急に促すことになると警告を発していた。
北朝鮮は長年、国連による制裁と地域における米国主導の軍事演習は米国の同国に対する敵意の証だと主張してきた。また、米国の軍事的脅威に対抗するために核兵器開発を余儀なくされたとも言っているが、米韓当局は北朝鮮を侵略する意図は持っていないと断言している。
米軍は今週、6ヶ月ぶりに日韓の軍と合同で対潜水艦海軍演習を実施した。これとは別に、米軍の核搭載可能な爆撃機と韓国軍の戦闘機が合同で航空訓練を行った。
北朝鮮は、米軍が参加したこれらの演習に反応してミサイル実験を行うことはしていない。しかし先月には、米韓軍事訓練を侵略の予行演習と見なし、抗議として相次いでミサイルを発射した。
北朝鮮が先週に新型核弾頭を公開して以来、5年以上ぶりに核実験が実施される可能性も懸念されている。国外の専門家らの間では、同国がミサイルに搭載可能なほど小型で軽量な核弾頭を開発したかどうかについて議論になっている。
AP