カリドン・アズハリ

長崎:  長崎市と長崎県は、5月19-21日に開催される2023年G7広島サミットに先立ち開催される5月13-14日の保健大臣会合の準備に余念がない。

長崎は、新しいアイデアを受け入れることに大きな誇りを持っており、感染症に関しては世界をリードする研究の場となっている。かつて西洋との貿易の唯一の架け橋であった長崎は、文化の多様性と寛容性でその名を知られている。

長崎港に1636年（江戸時代）に造られた人工島である出島は、1859年までヨーロッパと日本の唯一の玄関口で、幅広い西洋学問の入り口となった。同時に出島はコレラや天然痘などの伝染病の侵入経路でもあったため、道具や設備、科学、技術、医学知識に関する書籍が綿密に研究され、また日本の専門家によって改良されてすぐに実用化された。 

今日、長崎県は、世界の医療問題に関する最先端研究の本拠地となっている。
西洋の医学教育の最初の中心である長崎大学は、感染症の研究で国際的に知られるようになり、新型コロナ後の次の感染症危機に対する戦略をすでに考案している。

長崎大学はまた、1986 年のソ連 (現在のウクライナ) でのチェルノブイリ原発事故の後、放射線に被曝した人々の調査と治療、および地元の関係職員らのトレーニングを行った。さらに、2011 年の福島第一原子力発電所事故で被災した人々に医療支援を提供する上で重要な役割を果たした。

長崎の歴史的なオランダ商館の跡地にある野外博物館では、学芸員が、オランダ人は人工港が建設された直後に貿易を許可されたものの、自由に移動できなかったため、通訳者が知識の交流に積極的な役割を果たした、と解説する。

日本の西洋医学教育に貢献した有名な人物の 1 人に、1823 年にオランダ貿易使節団の医師として派遣されたフィリップ フランツ フォン シーボルトがいる。彼はまだ27歳だったにも関わらず、日本に滞在した6年の間に小さな、しかし非常に人気のある学校を設立し、勉強とトレーニングに没頭、出産と植物学に関する書籍の翻訳、編集をし、日本とオランダの貿易を改善するための市場調査も実施した。日本で西洋近代医学と生物学の先駆者となった多くの人々が彼の教え子であったことはよく知られている。

G7 広島サミットに合わせて開催される G7 保健大臣会合では、公衆衛生上の緊急事態への支援と「持続可能なユニバーサル ヘルス カバレッジ」につながるシステムの強化に焦点を当てるとともに、「さまざまな健康上の課題に対処する」ためのイノベーションを促進する予定だ。