
岸田文雄首相は15日、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の開幕を19日に控え、首相官邸で時事通信などのインタビューに応じた。中国とロシアを名指しし、「力による一方的な現状変更は認めない、と国際社会にメッセージを発する機会にしたい」と強調。生成AI(人工知能)を巡る国際ルール作りなどに関して合意し、「広島AIプロセス」として打ち出す方針を表明した。
首相は「平和の誓いの象徴の地である広島に、G7や招待国の首脳が集うことは歴史的に大きな重みがある」と指摘。ロシアによる核の威嚇や使用は「断固として拒否する」とし、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くG7の強い意志を明確に発信する」と述べた。
広島サミットにはインドやインドネシア、ブラジルといったG7と中ロの双方から距離を置く新興・途上国「グローバルサウス」の首脳を招待している。これに関して首相は、エネルギーや食料、気候変動の問題を共に討議し、連携を深めていく意向を示した。
核廃絶に関しては「『核兵器のない世界』に向けた力強いメッセージ」と共に「現実的な取り組みを着実に進める思い」も発信したいと表明。核兵器の削減や不使用の継続を盛り込み、自身が昨夏に提唱した「ヒロシマ・アクション・プラン」に沿って議論し、核兵器国の透明性確保などについてG7首脳間で確認したいとの考えを示した。
G7首脳の原爆資料館訪問については「被爆の実相に触れてもらうことは核軍縮に向けた取り組みの原点だ」と強調。「有意義なものになるよう検討を続けている」と説明した。
首相は生成AIについて「経済、産業、社会を根底から変えるポテンシャル(可能性)とリスクを共にはらんでいる」と指摘。サミットを機に活用と規制の議論を主導することに意欲を示した。
その上で、国境をまたぐデータ移転に関連して日本が提唱した考え方「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」を柱にすべきだと主張。生成AIの国際ルール形成と、DFFT具体化のための国際的な枠組み創設を2本柱として「広島AIプロセスを早急に始動させたい」と語った。
時事通信