
防衛装備移転三原則の運用指針見直しを議論する自民、公明両党の実務者協議(座長・自民党の小野寺五典元防衛相)は、21日から論点整理に向けた議論を本格化させる。救難など5類型に限定する輸出可能な装備品に、地雷除去と教育訓練を追加する案を検討。早ければ今夏にも一定の結論をまとめる方針だ。
現行の運用指針は、安全保障面で協力関係にある国を対象に、救難、輸送、警戒、監視、掃海に関する装備品の輸出のみを認めている。昨年末の安全保障関連3文書改定の議論で、政府は地雷除去と教育訓練の追加を提案したが、与党は結論を先送りした。
地雷除去は、ロシアの侵攻を受けるウクライナの復興支援を想定。教育訓練は、海洋進出を強める中国をけん制するため、東南アジアへの練習用航空機などの輸出が念頭にある。
政府は、英国、イタリアと次期戦闘機の共同開発で合意している。与党協議では、こうした国際共同開発の装備品を第三国に輸出する場合の制限緩和も議論する。
一方、防衛産業の業界団体からは、殺傷能力のある装備品を含む輸出拡大を求める意見も出ており、自民党国防族は「5類型の追加だけでは不十分だ」と同調。これに慎重な公明党との調整が焦点となる。
政府は与党協議の結論を踏まえ、国家安全保障会議(NSC)で運用指針見直しを決定する。
時事通信