
岸田文雄首相は26日、全国で緩やかに感染が広がり始めた新型コロナウイルスへの対応について、首相官邸で専門家との意見交換会を開いた。既に感染「第9波」が始まったとの見方もあり、首相としては先手を打って対応する姿勢をアピールし、対策に生かす考えだ。
意見交換には、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長を務めた尾身茂氏らが出席した。首相は「夏に向けてどのようなことに気を付けるべきか意見を伺いたい」と述べ、感染状況の分析や予測を尋ねた。全国平均に比べ感染者数の割合が高い沖縄県の状況についても質問した。
尾身氏は会合後記者団に、感染者数が全国的に微増傾向にあると指摘。「第9波が始まっている可能性がある」と語った。専門家からは、感染拡大と重症化を抑えるには高齢者対策が重要だとして「高齢者はできれば6回目のワクチンを打った方がいい」との意見も出た。
政府は5月に、新型コロナについて感染症法上の位置付けを「5類」に移した。18日までの1週間に発生した定点医療機関1カ所当たりの新規感染者数は前週の平均5.1人から同5.6人へと緩やかに増加。沖縄県では28・7人に達しており、警戒を強めている。
政府関係者によると、26日の会合は首相の意向で開かれた。新型コロナの感染再拡大を招けば政権にも打撃となりかねず、首相は24日には6回目のワクチン接種を受け重要性を強調した。松野博一官房長官は26日の記者会見で「夏に向けて一定の感染拡大が生じる可能性がある。先手先手で必要な対策を行っていきたい」と語った。
時事通信