

東京:パンデミック後、世界から日本へ観光客が戻る中、東京で最も複雑な交通ハブで、困っている外国人をサポートするために西武鉄道は自動翻訳ディスプレーを試験的に導入している。
印刷会社の凸版印刷が開発したVoiceBizと呼ばれるこのデバイスでは、客が駅員にマイク越しに話しかけると、半透明のディスプレーに日本語と11か国語のうちいずれかが表示される。
先月は200万人を超える旅行者が来日し、パンデミックが始まった2019年以降で最多となった。また、円安の影響でここ数十年で最も安い旅となったため、欧米からの旅行者はパンデミック前の水準を上回った。
ケビン・カニ氏は最近、西武新宿駅で迷った経験のある外国人旅行者の1人で、VoiceBizディスプレーが役に立ったという。
アリババで働く30歳ドイツ人の彼は、「翻訳は的確でした」と語った。「少し変な感じがするかもしれませんが、向こう側に人がいるのが分かるので、すぐに安心します。時間をかけて必要なことを説明すれば、相手はあなたが何を必要としているのか理解してくれます」
西武ホールディングス傘下の西武鉄道は今月、東京都心を通る路線のうちの1つの終着駅である西武新宿駅に翻訳ディスプレーを設置し、より広範囲な展開を検討する前に3か月間のトライアルを実施している。
1日約135,000人が同駅を利用し、その中には東京の新しいハリー・ポッターのテーマパークといった人気観光スポットを行き来する外国人も多く含まれている。
西武鉄道の矢島綾乃販売営業部長は、「本デバイス導入の狙いは、お互いの顔を見ることで、コミュニケーションの円滑さを向上させることです」と語る。
デバイスは今年初めに関西国際空港でもトライアルが実施され、凸版印刷は外国人旅行者や増え続ける移民に対応するため、日本国内の企業や官公庁への販売を目指している。
多くの鉄道路線と巨大なバスターミナルがある新宿区は、道案内技術の究極の実験場である。
西武の駅の道路を挟んで向かい側には、1日に約360万人が行き交う世界で最も利用者の多いJR新宿駅がある。ウサギの巣のように張り巡らされたトンネルが、JRの駅と他社による複数の鉄道路線や地下鉄路線を結んでいる。
午前1時の便で到着した疲れた様子のフランス人旅行者のイザベルさんとマルク・リゴーさんは、西武の駅からJRの駅までの道を探すのに翻訳ディスプレーを使った。そこにたどり着くには、やはり第三者の助けが必要であった。
「とても日本的です」とイザベル(47)は言う。
ロイター