
米ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘で18日に開かれる日米韓首脳会談で、岸田文雄首相は東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出を巡る「偽情報」対策でも連携を確認したい考えだ。バイデン米大統領との会談をてこに、防衛装備品の輸出ルール緩和に向けた与党の検討を加速させる思惑もありそうだ。
3カ国首脳会談は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応、中国を念頭に置いた経済分野を含む安全保障面の協力が主要議題となる。首相は1日の政府・与党連絡会議で「日米韓の戦略的連携を一層強化する機会としたい」と強調。関係者によると、首相は会談で処理水に関する偽情報への対応も取り上げる方向だ。
処理水を巡っては、日本政府が国際原子力機関(IAEA)に献金したと一部海外メディアが6月に報じた。中国は「核汚染水」と表現し、国際会議の場でも日本批判を展開している。政府は神経をとがらせており、7月に開いた日米韓の外相会談、次官級の電話協議でも偽情報の拡散防止について意見交換した。
首相は訪米中、米韓首脳との個別会談にも臨む。尹錫悦大統領には処理水放出で安全性を確保する姿勢を重ねて伝える。
日韓首脳会談は、政府が「夏ごろ」としている処理水の放出時期にも影響しそうだ。政府内では、尹氏との会談前に放出することは考えにくいとの見方が出ており、関係者は「考慮すると思う」と指摘した。
首相は7月下旬、装備品輸出のルール緩和について与党に検討加速を指示した。ウクライナへの武器支援を続ける米政府からは「日本も柔軟に対応してほしい」との声が上がり、首相官邸関係者も「欧米の期待は大きい」と語る。
ただ、今秋にも衆院選が行われるとの観測がある中、公明党は慎重に進める姿勢を崩さず、結論を出す時期は見通せていない。首相はバイデン氏に検討を急ぐ考えを伝え、ウクライナ支援に連携して取り組む方針を確認。それを「国際公約」として国内の議論促進につなげたい意向とみられる。
時事通信