
若者が気軽に大麻に手を出し、摘発される事例が相次いでいる。覚醒剤などと比べ値段が安く、合法化した国の増加なども背景にあるとみられる。全国の警察が昨年、大麻所持容疑などで摘発したのは5342人で、うち7割は10~20代だった。警察当局は若者による乱用に警戒を強めている。
警察庁によると、大麻所持などの容疑で摘発された人の数は2014年以降、増加傾向にある。21年には過去最多の5482人を記録した。
13年には薬物関連で摘発された人の8割が覚醒剤絡みだったが、その割合は年々減少。一方、大麻関連の摘発は増加が続き、今年上半期は大麻関連の検挙人員が覚醒剤関連を初めて上回った。
22年10~11月に大麻取締法違反(所持)で摘発された911人を対象とした調査では、大麻の入手先について、30歳未満の3分の1が「インターネット経由」と回答。ほとんどがSNSを利用していた。ネット以外では、友人や知人に誘われ、興味本位で罪の意識を持たずに乱用する若者が多かった。
横浜薬科大の篠塚達雄客員教授(法中毒学)は「大麻は他の薬物と比べ値段が安く、若い人が手を出しやすい。たばこのような感覚で始めてしまうのではないか」と分析する。
ネット上では、大麻の危険性を否定する情報が出回っているが、「頭痛や吐き気などの症状が出ることもあり、長期間乱用すれば幻覚や妄想を引き起こす状態になることもある」と警鐘を鳴らす。
警視庁幹部は「最近はSNSでも大麻を売買できる。犯罪組織とは無関係の若者が、会社をやめて売人になる例もある」と警戒。過去の乱用者の体験談を伝えるなどし、「大麻の危険性を継続して訴えていく」と語った。
時事通信