7月の記録的な大雨で5000件を超える床上・床下浸水が発生した秋田市では、浸水した畳や家具などの災害ごみの回収が課題となっている。災害発生から15日で1カ月。市は資源ごみの収集を一時停止するなどして対応しているが、解消の見通しは立っていない。
JR秋田駅南側を流れる太平川の氾濫で、多くの住宅が床上浸水した楢山地区。回収作業が徐々に進むものの、空き地には災害ごみが積み上がる。自宅が床上約1.4メートルまで漬かったという自営業円井智哉さん(42)は、「7月中は収集が進まず、臭いがどんどんひどくなっていた」と振り返る。市の戸別収集は予定通りに来なかった時もあったといい、友人らの協力で仮置き場に運んだ。
高齢の父と2人で暮らすセラピスト森屋洋子さん(60)の自宅前には、ぬれた畳などが発生当初から置かれたままだ。家具などはすでに回収されたというが、「衛生面を考えたら早く回収に来てほしい」と話す。
ボランティアを取りまとめる市社会福祉協議会の担当者は「収集の遅れが復旧のボトルネックになっている」と指摘する。床上浸水した住宅で住むには床下の泥上げや消毒が必要だが、屋内のごみが片付かなければ消毒作業は行えないという。
災害ごみ収集を担当する市環境都市推進課によると、ごみの総量が多く回収の人手が足りていない。いったん再開した資源ごみ回収を14日から再び停止。災害ごみ収集に力を入れるとしているが、「全体量は把握できていない」といい完了の見通しは立っていない。
こうした中、民間団体の支援活動も始まった。「ピースボート災害支援センター」(東京)は4日から楢山地区に支援拠点を設置。市のボランティアセンターと連携し、ごみの運び出しが進まない住宅にトラックを使った回収の支援を行う。
拠点では飲料水やカップ麺などの無料配布を実施するほか、住民からの生活相談も受け付ける。現地コーディネーターとして対応に当たる大塩さやかさん(41)は、「不安やストレスを吐き出せる場として、少しでも住民の負担を軽減できれば」と話している。
時事通信