Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • チュニジアの街、ゴミ危機をめぐり暴動

チュニジアの街、ゴミ危機をめぐり暴動

ゴミ集積場の再オープンへのデモ中に起こった参加者の死亡に続き、アガレブ市の道を塞ぐ前に集まるチュニジア人
ゴミ集積場の再オープンへのデモ中に起こった参加者の死亡に続き、アガレブ市の道を塞ぐ前に集まるチュニジア人
Short Url:
14 Nov 2021 05:11:49 GMT9
14 Nov 2021 05:11:49 GMT9
  • 集積場に捨てられるゴミには、一連の病気の原因となる危険な産業廃棄物や医療廃棄物も含まれている

アガレブ:催涙ガスと抗議の叫びがチュニジアの街アガレブを満たす中、近くのゴミ集積場が娘の死を招いたと非難するマブロカ・ベン・イブラヒムさんは、頭を下げ示威した。

ベン・イブラヒムさんによると、21歳だったヨウスラは、有毒ゴミの集積場から来た蚊に刺された後に亡くなった。

「私は娘を亡くしました。ゴミ処理地の汚物のせいで、他の家族に子供を失ってほしくないのです」と、59歳の彼女は語った。

住民によると、集積場に捨てられるゴミには危険な産業廃棄物や医療廃棄物も含まれ、癌、視力異常、不妊など、一連の病気を引き起こしている。

当局は9月にゴミ集積場を完全に閉鎖すると決定したが、月曜日に撤回。するとすぐに怒った人々による街頭デモが発生、治安部隊と衝突し事態は悪化した。

火曜日の朝方、デモの参加者一人が死亡。家族は催涙ガスを吸入したのが死因だとしたが、当局は健康状態のせいで亡くなっただけで全く関係がないと非難した。

デモ隊はスファックス県全体のゴミ危機の最中に突入。同県では県の主要なゴミ捨て場であるアガレブの集積場の閉鎖後、歩道にゴミが積み上げられている光景が見られる。

住民によると、市中心部からおよそ3キロ離れた場所に位置する35ヘクタールの集積場は、2008年にオープンして以来、住民全体の健康にとって災難となっている。

「オープンして2年後、アレルギー症状、呼吸器疾患、流産の増加を確認し始めました。これはゴミを燃やし有毒ガスが発生したことが招いた直接の結果です」。20年間この町で働いているバッサム・ベン・アマル医師はこのように述べた。

「癌の件数は急上昇しています」

催涙ガスのにおいが消えても、40万人以上が住むこの町からゴミのいやな臭いは消えることはない。

「夏の間、そして一年中、実に嫌な臭いと蚊がずっと漂っていて、窓を開けることすらできません」と、デモ参加者のアデル・ベン・ファラジさんは言った。

人権団体FTDESのイネス ラビアさんによると、自然保護区の中央に位置するゴミ捨て場には毎日620トン以上のゴミが捨てられている。

ベン・アマル医師は「医療廃棄物、切断された体のパーツや胎児の死体などを含む全てのゴミ」の最終地がゴミ集積場になっている、と語った。

一方環境省は、医療廃棄物はゴミ集積場に行く前に適切に処理されていると述べている。

北アフリカの国であるチュニジアにある13の公式埋め立て処理地のうちの1つであるこのゴミ集積場は、およそ100万人が使用し、チュニジアの主要な産業ハブであるスファックスの街にある多数の工場から出るゴミを受け入れている。

チュニジアの他の場所では、地域ゴミはわずかしかリサイクルされず、残りは埋め立てられるか焼却される。

住民によると、元々このゴミ集積場は5年間しか使われないはずだったが、その後も使い続けられ、2019年に即刻閉鎖命令が出されたにもかかわらず経営が続けられた。

昨年9月にようやく完全に閉鎖されたと思われたが、当局は今週再開し、住民をまたもや憤慨させる結果になった。

活動家たちは、同様のデモがチュニジアの他のゴミ処理地へと簡単に広がり得るだろうと警告している。

ラビアさんはAFP通信に、国全体のゴミの10パーセント以下のゴミしかリサイクルされていないと話した。

またゴミ処理地周辺にとって「これは公衆衛生や環境に大きなダメージを与えている」と続け、国にリサイクル機能を果たすシステムの設置を求めている。

多くのゴミ処理地は都市の周辺地域に位置する。

「今日はアガレブでデモがあったが、明日は首都のゴミ処理場で起こるかもしれません。デモの影響を受けないゴミ処理場はチュニジアにはないでしょう」とラビアさんは語った。

「空気がきれいな地域もありますが、それ以外の場所は軽視され基本的権利が奪われています」

アガレブでは、解決に向け芸術を使ってキャンペーンをする住人がいる。

29歳の建築家マーモン アジュミさんは、「Maneche Msabb(私はゴミ溜めじゃない)」の一員だ。

AFP通信に2つの芸術作品を見せてくれた。一つは天使になったヨウスラの肖像画、もう一つは環境権を扱うチュニジアの組織をネズミが食べている様子の絵だ。

街の窮状に注目してもらうため、火曜日にチュニスでカイス・サイード大統領と面会した活動家たちの中に彼はいた。

また、抗議に参加している人は政治とは何ら関係がないんだ、とAFP通信に話した。

AFP

特に人気
オススメ

return to top