
国連:パレスチナの国連大使は10日、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの爆撃や、同地区を完全に包囲する方針を示したことについて「まさに大量虐殺だ」と表現した。
ハマスの戦闘員が7日に行った攻撃は、イスラエル史上最も多くの犠牲者を出した。彼らはイスラエルの複数の町を襲って1000人以上を殺害、数十人の人質をガザ地区に連れ去った。イスラエルは報復としてガザ地区に対する空爆を行い、いくつもの地区を丸ごとがれきの山にする一方で、地上戦に向けた準備を整えている。
イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は9日、230万人が暮らすガザ地区への食料と燃料の供給を止める「全面包囲」を発表して国際社会から非難を浴びた。ガラント国防相は、イスラエルが戦っている相手は「けもののような人々」だと述べた。
これに対しパレスチナのリヤド・マンスール国連大使は10日、国連安全保障理事会に当てた書簡で「このように明らかな非人道的行為に加え、降伏させるために人々を爆撃し、飢餓を戦争の手段として使い、国家の存在を消し去ろうと試みることは、大量虐殺に等しい」と述べたとロイターは伝えている。
「こうした行為は戦争犯罪にあたる」ともマンスール大使は書簡で述べた。
ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は10日、「(いわゆる)包囲の概念と、実際にこれからイスラエル政府によって実行されることは同じではない」との見方を示した。また米政府はイスラエル政府との間で「この件に関するイスラエル側の行動について」対話を行っていると補佐官は語った。
サリバン補佐官はまた、ジョー・バイデン米大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が10日に「ハマスのテロリストに対する徹底抗戦と、テロリストと罪のない一般市民を識別する方法の間の違い」について話し合ったと述べた。
イスラエルのギラド・エルダン国連大使は8日、今回の武力衝突に関する国連安保理が非公開で開催された際、ハマスの戦争犯罪を非難するとともに、「ハマスのテロのインフラを完全に破壊」すべき時だと述べた。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は9日、イスラエルがガザ地区の完全封包囲を発表したことを受け、「深く心を痛めている」と述べた。
「今回の戦闘の以前から、ガザ地区の人道的状況は非常に悲惨なことになっていた。今やそれが急激に悪化の一途をたどろうとしている」とグテーレス事務総長は述べた。
ロイター