


イスラエル、テルアビブ:ロイド・オースティン米国防長官は、米国の外交官トップとともにイスラエルやアラブの指導者たちと13日に会談した際、イスラエルに「我々はあなた方を支援する」と確約した。包囲網のなかにあるガザに閉じ込められている230万人のパレスチナ人の人道的危機を悪化させる可能性のある、イスラエルによるガザへの地上攻撃を米国が阻止しようとしている様子はみられなかった。
オースティン氏とアントニー・ブリンケン国務長官による中東訪問は、先週末のハマス過激派の衝撃的で残忍な襲撃を受け、イスラエルが戦争をエスカレートさせる中で行われた。
イスラエルは13日、近く予想されている地上侵攻を前に、100万人の市民に対し、安全のためにガザ北部から避難するよう警告した。パレスチナ人は包囲された領土の南部に向け、実際に大規模な避難を開始した。ハマスは避難指示を策略だと非難し、国連は、多くの人々が避難することで悲惨な結果を招く可能性があると警告している。
ジョー・バイデン大統領は、ガザに閉じ込められた人々を助けることの優先順位を指摘した。
「ハマスと何の関係もない圧倒的多数のパレスチナ人が影響を受けているという事実を見失ってはならない」とバイデン氏はフィラデルフィアでの無関係のイベントで語った。同氏は、イスラエル、エジプト、ヨルダン、その他のアラブ諸国の各政府、そして国連と協力し、戦争によって危険にさらされている人々に人道的支援を緊急に提供するよう指示したと述べた。
しかし、バイデン氏はこの戦争中に継続している姿勢を崩さず、彼が「純粋な悪」と呼ぶハマスの脅威に対して、米国はイスラエルの側に立つと宣言した。
ブリンケン氏も同様のメッセージを発した。彼はカタールのドーハでの記者会見で、米国は「民間人への危害を避けるためにあらゆる予防措置をとることの重要性をイスラエルと議論」し続けているが、「イスラエルが受けたような事態に直面すれば、どの国も同じ行動をとるだろう」と述べた。
「どの国も、テログループが自国に侵入し、国民を最も非道な方法で虐殺されれば、彼らの振る舞いを容認しておくことはできない」とブリンケン氏は述べた。「イスラエルがやっていることは報復ではない。国民の命を守ることだ」
前日にテルアビブでイスラエルの指導者たちと会談した後、13日にサウジアラビア、ヨルダン、その他アラブ諸国の指導者たちとの会談を重ねたブリンケン氏は、ガザに閉じ込められているパレスチナ人のために人道回廊を開放してほしいというアラブ諸国の要求や、イスラエルによる地上攻撃が無数のガザ住民を自国に呼び寄せることになりかねないという懸念も聞いた。
ドーハでのカタール外相との会談に加え、ブリンケン氏は、パレスチナ人が多く住む国を統治し、その地位に大きな関心を持つヨルダンのアブドッラー国王と会談し、ヨルダン川西岸地区を支配するパレスチナ自治政府を率いるマフムード・アッバース大統領とも会談した。
アブドッラー国王はブリンケン氏に対し、「パレスチナ人をすべてのパレスチナ自治区から強制的に排除する行為、またパレスチナ人の領土内避難を引き起こそうとするいかなる試みに対しても警告を発し、近隣諸国への危機の波及や難民問題の悪化を防ぐよう」呼びかけたとヨルダン政府は声明で述べた。
国王はまた、ガザへの医療援助と救援のための人道回廊を開き、同時に市民を保護し、紛争の激化を阻止するために努力する必要性を強調した。また、国際機関が妨げられることなく活動できるよう訴えた。
米国務省のマシュー・ミラー報道官によると、ブリンケン氏は国王と、ハマス過激派が拉致した人質を全員解放する努力と、紛争拡大を防ぐ努力について話し合った。
一方、オースティン国防長官は、イスラエルが攻撃された後、米国がイスラエルに迅速に提供した武器や安全保障援助物資の一部を視察した。ある国防省高官によれば、米国はすでにイスラエルに小直径爆弾と、防空システム「アイアンドーム」用の迎撃ミサイルを供与しており、今後もさらに供与を続ける予定だという。
ガザで民間人が犠牲になる可能性について質問されたオースティン氏は、イスラエルには自衛権があると答えた。彼は、軍人時代にイスラエル軍と共に行動していたことがあり、同軍を尊敬していると述べた。
「彼らはプロフェッショナルであり、規律があり、必要なことに集中している」、彼はイスラエルの「戦時内閣」およびヨアヴ・ガラント国防相との会談後、記者に語った。彼はまた、ベンヤミン・ネタニヤフ首相とも会談し、「大統領が言ったように、我々はあなたを支援する」と伝えた。
オースティン氏はガラント氏とほぼ毎日協議を行い、米国の軍艦、航空機、情報支援、その他の物資をイスラエルおよび近隣地域に急速に移動させるよう指示した。USSジェラルド・R・フォード空母打撃群はすでに地中海東部におり、2隻目の空母も13日にヴァージニアから出発し、地中海に向かっている。
オースティン氏は、米国がこの地域で監視飛行を行なっているかどうかについては明言を避けたが、米国はイスラエルに対し、人質事件に関する助言を含め、情報提供やその他の計画支援を行っている。
バイデン氏は13日、ハマスの攻撃で行方不明になっている14人のアメリカ人の家族とのリモート・ミーティングに参加した。
「彼らは、アメリカ大統領がこの事態を深く心配していることを知らなければならない」と、バイデン氏は12日、CBSの『60ミニッツ』に語った。「私たちは、これが非常に重要な事柄であることを世界に伝えなければならない。これは人間的な行動ですらない。純粋な蛮行だ。そして、もし彼らを見つけることができたならば、彼らを取り戻すため、全力を尽くすつもりだ」
ホワイトハウスによると、他の参加者には、ジェイク・サリバン国家安全保障顧問、ロジャー・カーステンス人質問題担当特使、ジョン・バス国務次官、ブレット・マクガーク国家安全保障会議中東担当調整官らがいたという。
ドーハでは、ブリンケン氏が、人質解放に向けたカタールの人々の努力に感謝を示した。ムハンマド・アール・サーニー首相件外相は、カタールは最善を尽くしており、「今後数日のうちに進展が判明するだろう」と述べた。
アール・サーニー氏はまた、援助がガザ地区のパレスチナ人兄弟に届くようにするためには、ガザの人道回廊を開くことが不可欠だと述べた。彼は、民間人は保護される必要があり、「集団的懲罰は容認できない」と述べた。
ブリンケン氏は、アッバース大統領との会談で、パレスチナ市民の命が失われたことに哀悼の意を表したと、ミラー報道官は述べた。また、「国務長官は、ハマスがパレスチナ人の尊厳と自決の権利を守る立場にないことを強調し、イスラエルがテロから自国を守るために正当な治安活動を行う一方で、ガザの市民の人道的ニーズに対処する方法について話し合った」と彼は語った。
ブリンケン氏はバーレーンに短時間立ち寄った後、アラブ世界の主要国であるサウジアラビアで一日を終えた。週末にはUAEとエジプトを訪れる予定だ。
AP