
テルアビブ:バイデン大統領は、ガザで急速に拡大している人道的災害を緩和する努力を強める中、米国の「揺るぎない」支持を示すための、転換点となるかもしれないイスラエルへの訪問を行う。
アントニー・ブリンケン国務長官は、この訪問を「イスラエルとの連帯」と「イスラエルの安全保障への揺るぎない関与」を表明するものだと説明した。ハマスの戦闘員はここ数日で、厳重に要塞化された国境を突破し、1,400人以上(そのほとんどが民間人)を射殺、刺殺、焼殺の方法で殺害した。
バイデン氏の訪問の目的には、ハマスの後ろ盾であるイランとの地域紛争勃発の回避も含まれている。イランは16日、イスラエルに対して「今後数時間で先制攻撃」を行なう可能性があると警告していた。
ここ数日、レバノンと境界を接するイスラエル北部の国境地帯では砲撃が繰り返され、双方で人命が失われており、この紛争が地域に波及する恐れが高まっている。
イスラエルが報復として、ハマスが支配するガザ地区への空爆を繰り返し行っているため、ガザ地区では人道的危機の深刻さが増している。このような危機的状況を緩和するための必死の外交努力が続く中、バイデン氏の今回の訪問が決まった。
バイデン大統領はイスラエルの次にヨルダンへ向かい、同国のアブドッラー2世国王と会談し、その後、パレスチナのマフムード・アッバース大統領、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領とも会談することになっている。
執拗に繰り返されるイスラエルの砲撃の下、数千人のガザ市民が死亡。国際機関は、200万人以上の住民がイスラエルの地上侵攻を目前にしながら、水、食料、燃料など供給の減少にも直面していると警告している。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相とイスラエルの軍指導部は、武装勢力ハマスからの攻撃を米国の9.11同時多発テロになぞらえ、攻撃後、ハマスの壊滅とその脅威の根絶の意思を示唆した。
数万人のイスラエル正規軍と予備役が国境に集結し、出動命令を待っている。
イスラエル軍の報道官は、バイデン氏の訪問が、ガザ地区のハマスに対するイスラエルの地上侵攻のタイミングにどのような影響を及ぼすのかは不明だと述べた。
イスラエル空軍によると、16日、パレスチナ最高評議会のひとりで、「ハマスの捕虜の責任者」であるオサマ・マジーニ氏を含む、ハマスの高官数人が空爆によってすでに死亡している。
米国を含む一部の西側諸国では、ハマスは非合法のテロ組織として登録されており、イスラエルはハマスがダーイシュと酷似しているとみている。
しかし、空爆により封鎖されたガザ地区全体を徹底的に破壊し、少なくとも2,750人が死亡、その大半が民間人である。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、爆撃にイスラエルと国境を接するガザ地区北部からの退避命令が相まって、この10日間の紛争が始まってから、100万人以上のパレスチナ人がガザ地区南部への避難を余儀なくされているという。
国際援助機関は、至急ガザ地区への支援を許可し、ガザの市民が出国できるようにエジプトと接するガザ国境を開放するよう求めている。
ブリンケン氏はテルアビブにて、長時間にわたりネタニヤフ首相と会談を行ったが、人道支援については確固とした合意には至っていないと示唆した。
しかし、同氏によると、バイデン氏の訪問前と訪問中に、初期段階の計画に取り組む「約束」を取り付けたという。
同氏は、「我が国の要請により、米国とイスラエルは、援助国や多国籍組織からの人道支援がガザの市民に届けられるように計画を策定することで合意した」と述べた。
ブリンケン氏は、米国とイスラエルは「民間人を危険から遠ざけるための区域を設ける可能性」について話し合っているとも述べた。
同氏によると、バイデン大統領は、「民間人の犠牲を最小限に抑え、ハマスの利益にならない形でガザの市民に人道支援を届けるためには、イスラエルがどのような方法で軍事作戦を遂行するのかを知りたいと考えている」という。
イスラエルは、ガザ北部の100万人以上の市民に対し、予想される地上侵攻の前に避難を求める最後通告をすでに出している。
AFP