
ベイルート:レバノンのナショナルキャリアであるミドル・イースト航空(MEA)は、航空便を半分以下に減便すると発表した。イスラエルとの国境における緊張を受けてレバノンへの渡航を控えるよう勧告する欧米諸国が増えている中での対応だ。
MEAのモハメド・エル・ホウト会長は、来週時点では同社の航空機22機のうち8機のみが運航し、残りは他の空港に移転されると述べた。
同会長はテレビのインタビューの中で、「弊社の航空便の半分以上がキャンセルされます」と語った。この決定は、10月7日にハマスがイスラエルで攻撃を行った後に同社の保険適用範囲が変更されたことを受けてなされたものだという。
同会長は、攻撃の「2~3日後、保険会社が心配し始めたのです」と言って、戦争リスクの適用範囲が狭められたことを説明した。
「少しでも多くのお客様を目的地へとお連れできるよう、ダイナミックなフライトスケジュールを発表する予定です」
エル・ホウト会長は、21日に航空機10機がベイルートを出発し、一時的にキプロス、トルコ、カタールなどの外国に移動すると発表した。
「ベイルートのラフィク・ハリーリ国際空港は世界との連絡を維持します。もし私どもが運航を停止すれば、他の航空会社はレバノンへの航空便を停止するよう促されるでしょう」
また、「アル・アクサの洪水作戦」が始まると保険会社が戦争リスクについて心配し始めたため、彼らと協力して査定が実施されたと語った。
「レバノンの最高レベルのリファレンスに連絡を取りました。得られた全ての情報が示すところでは、作戦は紛争ルールの範囲内で行われ、レバノン南部で管理下に置かれ、エスカレートすることはないということでした。しかし、想定外の要素は残っています」
「保険が完全にキャンセルされたら、どうするかを決めます」
「たとえ現時点で多大な損失を被ったとしても、それは将来的に補填して立ち直ることができるでしょう」
「私どもは従業員に対して責任を持っていますし、このような出来事を乗り越えるために必要なものを備えています」
スイス・インターナショナル・エアラインズやルフトハンザ・ドイツ航空などの他の航空会社は、欧米諸国が自国民にレバノンからの出国を勧告する中、ベイルート発着便を一時運休している。
サウディアは今月末までレバノンへの航空便を停止している。
オマーン、ウクライナ、オランダなど、アラブ諸国を含む外国の大使館は自国民に対し、レバノンに留まることや渡航することを控えるよう勧告し続けている。
20日に渡航勧告を出したベルギーはその最新の例となった。
同国大使館のウェブサイトには次のようなメッセージが掲載されている。「情勢が予断を許さないため、ベルギー国民の皆様はできるだけ早くレバノンから出国するようお願いいたします」
ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は20日にベイルートに到着し、ナジーブ・ミカティ暫定首相およびアブドラ・ベンハビブ外相と会談した。
会談では、ガザ地区の紛争が欧州の安全保障に与える影響について話し合われた。
ベアボック外相は、ドイツはガザ地区への援助の流れを確保するためにG7、EU、地域のパートナーと緊密に協力していると述べた。
同じく20日、レバノンを訪問した米国の代表団を交えた会合が開かれ、レバノン南部国境沿いの情勢や、同国軍が直面する課題について話し合われた。
レバノン軍の声明によると、同軍司令官のジョセフ・アウン将軍は自身の事務所で、米連邦議会議員補佐官の代表団と会合を開いた。
米国防総省駐在武官のエイミー・モウリー大佐もこの会合に出席した。
レバノン南部のブルーラインに隣接する地域では、ヒズボラによるイスラエルの前哨基地に対する攻撃の増加を受けて追加の機動作戦が行われている。
イスラエル国防軍(IDF)は、ヒズボラの「軍事インフラ」を標的にしていると述べた。
ナクーラのUNIFIL本部では、午後の砲撃の中でサイレンが作動した。
イスラエルメディアの報道によると、IDFは、イスラエルに侵入しレバノンとの国境近くのマルガリオット居住地に向け発砲した可能性のある人物を追跡している。
レバノン軍は、IDFが19日にレバノン南部において、7人から成るジャーナリストの一団の中の民間人1人を殺害したと発表した。
この一団は、フーラ郊外のアル・アバドのイスラエル前哨基地の前で国境地域の治安情勢を取材していたという。
彼らは5時間にわたって追い詰められ、機関銃で直接攻撃された。イスラエル側に展開するUNIFIL部隊が介入して彼らを救出した。
犠牲になったのは、一団を乗せた車を運転していたレバノン人男性、モハメド・アブダラー・アル・ベカイ氏であるとみられる。一団は、イランのテレビ局から来たイラン人3人と、イラクの記者1人と、レバノン人3人で構成されていた。
一方、前例のない動きがあった。レバノンにおけるハマスの軍事部門であるアル・カッサム旅団が、19日夜に同国南部からイスラエル西部のガリラヤの居住地(ナハリヤとシュロミ)に向けて誘導ミサイル30発を発射したと犯行声明を出したのだ。
IDFは同じく20日、イスラエル北部のレバノンとの国境近くの都市キリヤット・シュモナから住民を退避させる計画を発表した。
ベイルートやその他の地域では、多くのモスクの前で礼拝者らが、イスラエルによるパレスチナ人に対する犯罪を非難する抗議行動を行った。