
エルサレム:イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の官邸前で、警察がデモ隊を制止した。同国では今、先月のハマス戦闘員らによるガザ地区周辺のコミュニティーに対する残忍な攻撃につながった失敗に対する怒りが広がっている。
エレサレムのネタニヤフ首相の官邸周辺では、数百人の群衆が青と白のイスラエル国旗を振って「今すぐ収監しろ!」と唱えながら、警察による障壁を突破した。
イスラエル国民の4分の3以上がネタニヤフ首相は辞任すべきだと考えているという世論調査結果の公開と時を同じくして行われたこのデモは、同国の政治・安全保障の指導者らに対する国民の怒りの高まりを浮き彫りにした。
ネタニヤフ首相はこれまでのところ、10月7日のハマスによる奇襲攻撃を許した失敗についての個人的責任を認めていない。この攻撃では数百人のハマス戦闘員がイスラエル南部を襲撃して、1400人以上を殺害し、少なくとも240人を人質に取った。
最初の衝撃が薄れるにつれ、国民の怒りは高まっている。ガザ地区で拘束されている人質の家族の多くは政府の対応を厳しく批判しており、自分たちの親族の帰還を実現するよう求めている。
テルアビブでは数千人がデモを行った。群衆は旗を振り、ガザ地区に人質に取られれている人々の写真や、「何としても今すぐ人質を解放せよ」などのスローガンが書かれたポスターを掲げながら、「彼らを今すぐ家に帰せ」と唱えた。
オフリ・ビバス・レヴィさんの弟は、彼の4歳の息子アリエルちゃんと10ヶ月の息子クフィルちゃんと共に、ハマスによって人質として拉致された。彼女はロイターに対し、家族への支援を示すために来たと話した。
彼女は次のように語った。「彼らがどこにいるのか、どんな状態に置かれているのか分かりません。クフィルが食べ物を貰えているのかも、アリエルが十分に食べられているのかも分かりません。とても小さな子供なんです」
ハマスによる攻撃以降、イスラエルはガザ地区に対し激しい空爆と地上攻撃を開始し、同地区の大部分が瓦礫と化した。ハマス支配下の同地区の保健省によると、死者は9000人以上に上る。
この戦争が始まる前から、ネタニヤフ首相は汚職容疑(自身は否定)と闘い、司法の権限を制限する計画を押し通す(これに対しては数十万人が街頭に出て抗議した)など、分断を作り出す人物だった。
4日に公開された、イスラエルのテレビ局「チャンネル13」が実施した世論調査によると、イスラエル国民の76%がネタニヤフ首相(史上最多の6期目を務めている)は辞任すべきだと考えている。64%は、戦争終結後にイスラエルは直ちに選挙を実施すべきだと回答している。
ハマスの攻撃に関して最も落ち度があるのは誰かという質問には、44%がネタニヤフ首相、33%がイスラエル軍参謀総長および国防軍(IDF)高官ら、5%が国防相だと回答している。(取材報告:エミリー・ローズ;編集:ロス・ラッセル、エメリア・シトール・マタリーズ)
ロイター