
ラマッラー:パレスチナ自治政府が公表した写真によると、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は5日、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区を厳戒態勢で電撃訪問し、パレスチナのマフムード・アッバース大統領と会談した。
10月7日以来、イスラエルとハマスのガザでの戦争と並行して、占領地での暴力の激化に対する世界的な懸念が高まる中、アメリカのトップ外交官はアッバース大統領とラマッラーで会談した。
アッバース大統領は5日、イスラエルとパレスチナの紛争に「包括的な政治的解決策」が見出された場合にのみ、パレスチナ自治政府はガザ地区で権力を取り戻すことができると述べた。
イスラエルは、10月7日の致命的な攻撃以来、ガザを支配するハマスを殲滅しようとしており、戦争後にパレスチナ領土を誰が統治するのかという問題が浮上している。
WAFA通信社によると、アッバース大統領はブリンケン国務長官に対して「東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区全域とガザ地区を含む包括的な政治的解決策の枠組みの中で、我々はその責任を完全に引き受ける」と述べた。
イスラエル当局によれば、戦争は武装勢力ハマスがイスラエル南部への攻撃を開始し、民間人を中心に1400人が死亡した後に勃発した。
ハマスが運営する保健省によれば、イスラエルによるガザへの陸・空・海からの報復攻撃で9,500人近くが死亡したこの戦争が勃発して以来、ブリンケン国務長官はイスラエルを3回訪問し、その他多くのアラブ諸国も訪問している。
しかし、ヨルダン川西岸地区への訪問は10月7日以来初となった。
今回の訪問は、3日にヨルダンと隣国イスラエルを訪問した後に行われ、安全上の理由から事前に発表されなかった。
声明によると、ヨルダンのアブドッラー2世・イブン・アル・フセイン国王陛下との会談後、ブリンケン国務長官は「ヨルダン川西岸地区での暴力の激化に懸念を表明し、この地域における長期かつ持続可能な和平に向けてパートナーと協力するというアメリカのコミットメントを強調した」という。
ヨルダン川西岸地区での衝突
ラマッラーに拠点を置くパレスチナ自治政府によると、戦争が始まって以来、イスラエル兵との衝突やイスラエル入植者による攻撃により150人以上のパレスチナ人が死亡している。
ハマスのライバルである世俗主義政党ファタハを率いるアッバース大統領とブリンケン国務長官の会談は、アメリカ政府がイスラエルを政治的・軍事的に支援しているなかで行われた。
アメリカは、イスラエルとパレスチナの紛争を解決する唯一の道は二国家間解決であると主張してきた。
ブリンケン国務長官は最近、現在ハマスが統治しているガザ地区をパレスチナ自治政府が掌握すべきだと述べた。
ヨルダン川西岸地区での緊張の高まりに対して、アメリカや多くのヨーロッパ諸国、アラブ諸国、そして国連が警戒を表明している。
イスラエル軍は3日、特に1967年以来占領しているヨルダン川西岸地区北部のジェニンとナブルスにおいて「ハマスに対抗する作戦を展開している」と発表した。
ブリンケン国務長官は中東歴訪に際して、砲撃を受けている人口密集地のガザ地区で民間人を保護し、支援物資の輸送を容易にするための「人道的な一時停戦」を提唱している。
ブリンケン国務長官は5日、トルコのアンカラに向かった。
AFP