
ロンドン:イスラエルによるガザへの爆撃により、ガザ地区の住宅の50%が破壊された。もし攻撃が12月まで続けば、16年の人間開発の成果が消滅してしまう恐れがあると、国連が警鐘を鳴らしている。
2カ月にわたり、砲撃と地上侵攻による大混乱が続けば、ガザ住民の96%が「前例のない形でのあらゆる基本的サービスの剥奪」に直面することになるだろう。
パレスチナにおける紛争の影響に関する迅速評価報告書において、このような主張がなされた。
国連西アジア経済社会委員会のローラ・ダシュティ事務局長がニューヨークの国連本部で報告し、この紛争による「負の波及効果」はすでにレバノン、ヨルダン、エジプトにまで及んでいると述べた。
ダシュティ氏に国連開発計画のアブダラ・アル・ダルダリ事務次長も加わり、イスラエルによる攻撃の結果、パレスチナではすでに39万人の雇用が失われたと報告した。
「人間開発の損失が、さらに重大です。2カ月にわたる戦闘後、ガザだけでなくパレスチナは、人間開発の16年の成果を失ってしまうでしょう」とアル・ダルダリ氏は語った。
「医療や教育、そしてインフラや経済成長も消滅してパレスチナは2005年当時に戻ってしまうでしょう」
「国際社会とパレスチナ住民によるすべての投資、すべての努力が失われてしまうのです」
ダシュティ氏は、パレスチナにおける紛争の死者数は1万人を超えており、「真の犠牲は単なる数字では表せない」と述べた。
同氏は、パレスチナ人とイスラエル人の双方が平和に暮らす権利があると述べ、持続可能な停戦を仲介するよう国際社会に呼びかけた。
「わずか4週間余りで、ガザで殺害された子どもの数は約4300人に上り、2020年以降22カ国で武力衝突がありましたが、それ以降の子どもの合計死者数を上回っています」とダシュティ氏は述べた。
「また、破壊の程度は想像を絶するもので、前例がありません。11月3日の時点で、3万5000戸の家屋が完全に破壊され、約21万2000戸が一部損壊と推定されています」
報告者の2人によれば、インフラの被害に経済的損害が加わり、圧倒的多数のガザ住民が多面的な貧困状態を強いられているという。
アル・ダルダリ氏は、報告書「The Gaza War: Expected Socioeconomic Impacts on the State of Palestine(ガザ紛争:パレスチナ国家において予想される社会経済的影響)」の統計を引用し、パレスチナの国内総生産の損失は、ウクライナの損失をはるかに上回ることを示した。
「ガザだけでなく、パレスチナのような地域や経済にとって、1カ月でGDPの4%が失われるというのは、これまでに目にしてきたどの紛争とも比較になりません」と同氏は述べた。
「シリア経済はかつて、毎月GDPの1%を失っていました。(パレスチナでは)すでにGDPの4%を失っているのです」
「この戦闘が丸2カ月続くことになれば、GDPの損失は8%を超えます。もし年末まで続けば、GDPの損失は12%になります」
「比較してみます。ウクライナは1年半の戦闘でGDPの30%を失いました。3カ月でGDPの12%が失われるというのは、大規模かつ前例のない数字です」
イスラエルによるガザへの爆撃は、国連開発計画などの組織が数十年にわたり設置してきたインフラも破壊し、わずか4週間でこれら組織のプロジェクトの45%が失われたと、アル・ダルダリ氏は述べた。
同氏によると、医療センター、太陽光発電所、水処理施設、支援センター、女性主導の企業がすべて、砲撃によって破壊された。
また、住宅の損失は、ガザ地区に「長期にわたる地区内での避難状態」をもたらし、「人道上、経済成長上、安全保障上のすべてに影響が及ぶ」だろう、と指摘した。
同氏によると、ガザは4週間にわたる集中砲火で、シリアが4年以上にわたる内戦で失った住宅と同程度の住宅を失った。
同氏はまた、2021年の危機においてガザ地区で破壊された住宅1700戸のうち、再建されたのはわずか200戸という統計を引用し、紛争地域での住宅再建の新たなモデル作りを求めた。
ダシュティ氏は、もし戦闘が続くならば、この紛争のすべての利害関係者の間で享受されている、経済的繁栄と社会的エンパワーメントという「苦労して手に入れたもの」が徐々に蝕まれてしまうと警鐘を鳴らす。
「持続可能な平和がなければ、この紛争のすべての利害関係者が将来、さらに多くの人命を失う上に、持続可能な開発への展望も危うくなるということを、歴史が私たちに教えているのです」