• ガザ保健省のアシュラフ・アル・キドラ報道官は11日、ガザ地区最大の病院であるアル・シファ病院の医療施設で業務が一時停止したと発表
• 国境なき医師団、アル・シファ病院の患者と医療スタッフの安全が「非常に心配」と発表

ガザ地区：ガザ保健省報道官は、ガザ地区最大の病院であるアル・シファ病院の医療施設での業務が燃料不足のため、11日、停止したと発表した。

ハマスが実効支配するガザ地区保健省のアシュラフ・アル・キドラ報道官はロイターに対し、「乳児45人が保育器を利用しているが、業務停止の結果、保育器に入っていた新生児１人が死亡した」と述べた。

ガザ住民によると、イスラエル軍は、アル・シファ病院があるガザ市内と周辺で、一晩中、銃武装したハマス戦闘員と戦っていたという。イスラエル軍はこの件についてコメントを求められたが、すぐには応じていない。

「状況はみなさんの想像以上に悪化しています。私たちはアル・シファ病院の医療施設内に閉じ込められています。侵略者はほとんどの建物内部を標的にしています」と、キドラ氏は電話で語った。

イスラエル軍によると、先月イスラエル南部一帯で戦闘を繰り広げた武装組織ハマスが、ガザ地区にあるアル・シファ病院などの建物の地下に司令部を置いているため、軍事目標とみなされ攻撃を受けやすくなっているという。

ハマスは民間人を人間の盾に使っていることを否定している。保健当局によると、イスラエルによる病院や周辺への攻撃が増えており、患者や医療スタッフ、建物内や近くに避難している数千人の避難者が危険にさらされている。

「イスラエル軍は施設内を移動する人々を銃撃しているため、部門間での移動が制限されています。病院から逃げようとして、撃たれた人もいます」とキドラ氏は述べ、電力もインターネットも止まっていると付け加えた。

援助機関によると状況は「壊滅的」

援助機関「国境なき医師団」によると、アル・シファ病院の患者と医療スタッフの安全が「非常に心配」であるという。

同援助機関は、「ここ数時間で、アル・シファ病院に対する攻撃の激しさが、急激に増している」と、11日朝、ネットに投稿された声明で発表した。

「病院にいる我々のスタッフから、ほんの数時間前、病院内が壊滅的な状況であるという報告があった」

アル・シファ病院が10日に攻撃を受け、その後病院に向かった看護師のマハー・シャリフ氏は、人々が地面に倒れていた様子について説明した。

国境なき医師団の声明の中で、シャリフ氏は「女性や子供などの遺体を目撃しました」と語った。

「悲惨な状況でした」

ガザ在住のハナネさんはAFPに対し、ハナネさんの娘がパン店の外で並んでいた時に負傷し、アル・シファ病院で治療を受けていると語った。ハナネさんは、爆発音がするたびに娘が「震え始める」と話してくれた。

病院の敷地内には、多くの人が避難している。AFP記者も、廊下に並べられたベッドに横たわる人々を目撃している。ガスコンロで食事を作り、床に座って食べる人もいたという。

国連の人道支援機関によると、ガザの病院36カ所の内、20カ所が「機能していない」。

イスラエルは病院への攻撃を否定

イスラエルは病院を標的にしていることを否定し、同軍はハマスが医療施設を司令部や潜伏場所として使っていると非難している。ハマスはこのイスラエルの非難を否定している。

しかし、ハマスの戦闘員が「病院から銃撃」しているのをイスラエル軍が目撃すれば、同軍はその戦闘員を「殺害」するだろうと、同軍のリチャード・ヘクト報道官は述べた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、先月のハマスによる攻撃後、イスラエルには自国を守る権利があると述べた。

イスラエルの最新の統計によると、ハマスの戦闘員は10月7日に国境を突破し、1200人を殺害し、239人を人質にしている。

マクロン氏はBBCに対し、イスラエルによる空爆および地上作戦の拡大により、民間人の死亡が続いていると語った。

同氏は次のように語った。「乳児、女性、高齢者が爆撃で殺害されています。このようなことをしていい理由も正当性もありません。攻撃を停止するよう、イスラエルに強く求めます」

ガザ保健省によると、イスラエルによる攻撃で1万1000人以上が死亡した。そのほとんどが民間人で、多くが子供だという。ただし、この数字は独自に検証できていない。

アントニー・ブリンケン米国務長官も民間人の犠牲者数に懸念を表明した。

「あまりにも多くのパレスチナ人が殺害されている」と、同氏は10日、ニューデリー訪問中に述べた。

同氏はイスラエルへの支持を繰り返し、数万人のガザ住民が安全を求めて避難している、ガザ地区の一部地域での軍事作戦を4時間停止することにイスラエルが正式に合意したことを受けて、同氏はその「進展」を歓迎した。

「同時に、民間人を保護し、人道支援を得るという観点からは、これよりもっと多くのことを行う必要があることも極めて明確になった」と語った。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はマクロン氏の発言に応えて、民間人の死者については、非難されるべきはイスラエルではなく、ハマスであると述べた。

イスラエルは民間人に被害が及ぶのを避けようとしているが、ハマスの方で民間人が安全な地域に移動できないようにして、「人間の盾」に使っていると、同首相は繰り返した。ただし、ハマスはこのイスラエルの非難を否定している。

AFP

ロイター