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イスラエルはガザ最大の病院周辺でハマスと交戦、ネタニヤフ首相は高まる停戦要求を拒否

2023年11月10日、イスラエルとパレスチナの組織ハマスとの間で続く紛争の中、ガザ地区南部でイスラエルがラファを砲撃した際に破壊された建物の前を通り過ぎる国連バス。(AFP通信)
2023年11月10日、イスラエルとパレスチナの組織ハマスとの間で続く紛争の中、ガザ地区南部でイスラエルがラファを砲撃した際に破壊された建物の前を通り過ぎる国連バス。(AFP通信)
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13 Nov 2023 01:11:51 GMT9
13 Nov 2023 01:11:51 GMT9
  • シファ病院とガザ市の他の病院が攻撃を受けた際には数千人が脱出したが、医師は全員が避難することは不可能だと述べた
  • イスラム教とアラブ世界の指導者たちは、国連機関である国際司法裁判所に対してイスラエルの攻撃について調査を開始するよう求め、この戦争は「自衛とは呼べず、いかなる手段でも正当化することはできない」と述べた

ディール・バラフ、ガザ地区:ベンヤミン・ネタニヤフ首相は11日、停戦を求める国際的な圧力の高まりに反対する姿勢を示し、ガザを支配する過激派組織ハマスを鎮圧するイスラエルの戦いは「全力」で継続すると述べた。

ネタニヤフ首相はテレビ演説で、ガザで武装勢力に拘束されている239人の人質全員が解放された場合にのみ停戦が可能になると強調した。

また、今や6週目に突入したこの戦いが終わればガザは非武装化され、イスラエルはそこで治安管理を維持すると主張した。治安管理とは何を意味するのかという質問に対してネタニヤフ首相は、イスラエル軍は武装勢力を追い詰めるためにガザに自由に入ることができなければならないと述べた。

2023年10月18日、テルアビブのベン・グリオン国際空港に到着し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に迎えられるジョー・バイデン大統領。(AFP通信)

また、現在イスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸の自治区を管理しているパレスチナ自治政府がある段階でガザ地区を支配するという考えを否定した。このどちらの姿勢も、イスラエルの最も親密な同盟国である米国が提唱した戦後のシナリオに反している。アントニー・ブリンケン国務長官は、米国はイスラエルのガザ再占領に反対しており、パレスチナ国家への一歩として、ある段階でガザとヨルダン川西岸の両方で統一されたパレスチナ政府を構想していると述べた。

差し当たって、ネタニヤフ首相は「(ハマス)に対する戦争は全力で進行しており、勝つことが目標だ。勝利以外の選択肢はない」と述べた。

ガザ最大の病院で必死に奮闘する医師らが、最後の発電機が燃料切れになり、早産児1人、保育器内の別の子供、他の4人の患者が死亡したと述べてから、イスラエルへの圧力は高まっていた。数千人の負傷者、医療スタッフ、避難民が戦闘に巻き込まれた。

2023年11月11日、ガザ地区南部のラファで、イスラエル軍の爆撃によって死亡した子供の遺体を運び出す人々。(AFP通信)

ここ数日、シファ病院やガザ北部の他の病院の近くで戦闘が激化し、物資が不足している。イスラエル軍は、ハマスが民間人を人間の盾として使用して病院内およびその地下に司令部を設置したと主張しているが、その証拠を示してはいない。シファ病院の医療スタッフは、そのような主張を否定し、イスラエルが無差別攻撃で民間人を傷つけたと非難している。

シファ病院のモハメド・アブ・セルミア院長は、病院の施設は11日に停電したと述べた。

「医療機器が停止しました。患者、特に集中治療室にいる患者が次々に亡くなっています」と銃声と爆発音を背景に電話で語った。院長は、イスラエル軍が「病院の外でも中でも誰に対しても銃撃して」おり、建物間の移動を妨げていると述べた。

イスラエル軍は病院外での衝突を確認したが、ダニエル・ハガリ少将はシファ病院の包囲を否定した。少将は、12日に部隊はそこで治療中の赤ちゃんを移動させるために支援する予定で、病院のスタッフとは「直接かつ定期的に話している」と述べた。

2023年11月10日、イスラエルとパレスチナの組織ハマスとの間で続く紛争の中、南イスラエルから見たガザ上空に立ち昇る煙。(ロイター通信)

イスラエル軍情報部門のトップを務めたアモス・ヤドリン氏は、イスラエルがハマス打倒を目指す上で病院の支配は重要だが、患者や他の民間人、イスラエル人の人質を傷つけないよう「多くの戦術的創造性」を必要とすると述べた。

ハマスが運営する保健省の広報担当者によると、発電機が停止した後、2人の子供を含む6人の患者がシファ病院で死亡した。

赤十字国際委員会(ICRC)のロバート・マルディーニ事務局長はソーシャルメディアで、シファ病院での「耐え難いほど絶望的な状況」を今すぐ止めなければならないと述べた。国連の人道支援責任者であるマーティン・グリフィス氏は、「医療施設での戦争行為は正当化できない」と投稿した。

他にも、パレスチナ赤新月社によると、イスラエルの戦車がガザ市のアル・クッズ病院から20メートルほどの場所におり、そこに避難している1万4,000人の避難民の間で「極度のパニックと恐怖の状態」を引き起こしている。

イスラエル軍はガザで戦車が作戦中であることを示す映像を公開した。画像からは、建物が崩れ、その一部が燃えており、兵士以外誰もいない通りが破壊されているのが分かる。

サウジアラビアで開催された57カ国からなるイスラム教徒とアラブ人の指導者の集まりでは、ガザでの戦争終結と人道援助の即時提供を求める声明を発表した。また、国連機関である国際司法裁判所に対してイスラエルの攻撃について調査を開始するよう求め、この戦争は「自衛とは呼べず、いかなる手段でも正当化することはできない」と述べた。

ネタニヤフ首相は民間人被害の責任はハマスにあると述べ、ハマスはガザ市民の避難阻止を否定している。

ハマスの軍事部門報道官は、武装勢力がイスラエル軍を待ち伏せしていると述べ、イスラエルは長期戦に直面することになると誓った。アブ・オバイダと名乗るカッサム旅団の報道官は、アルジャジーラで放送された音声で、この戦いが不釣り合いであることを認めたが「この地域で最も強い勢力を脅かしている」と述べた。

イスラエル軍によると、兵士たちは戦闘中に地下施設、学校、モスク、診療所で何百人ものハマス戦闘員に遭遇したという。イスラエルによると、この戦争の主要な目標は16年間ガザを支配してきたハマスを壊滅させることである。

少なくとも1,200人が死亡した、10月7日のイスラエルに対するハマスの攻撃を受け、イスラエルの同盟国は自国を守る権利を擁護してきた。しかし、戦争が2か月目に突入した今、イスラエルがどのように戦闘を行うべきかについての意見の相違が高まっている。

米国は、状況が悪化の一途をたどる包囲された地域にいる民間人に対して緊急援助をより広範に配布できるようにするため、一時的な停戦を要求している。しかし、イスラエルは、民間人がガザ北部の地上戦闘から逃れて同地域を南北に走る幹線道路に沿って徒歩で南下できるよう、毎日ごく短い時間の休戦のみに同意している。

国連の監視団によると、これらの避難経路が1週間前に最初に発表されて以来、15万人以上の民間人が北部から避難している。11日、軍は新しい避難経路を発表し、民間人は中央道路と沿岸道路を使用できると述べた。

大勢の人々が幹線道路を南へ逃げ、ロバが引く荷車に乗っている人々もいた。1人の男性は2人の子供を乗せた手押し車を押していた。

「どこに行けというんだ。私たちをどうしたいんだ」と避難民の一人であるヤヒヤ・アル・カファルナさんは語った。

パレスチナの民間人や人権擁護団体は、イスラエルが南部の避難区域を「比較的安全」と描写していることに反発している。そしてイスラエルの爆撃がガザ全域で続いており、ハマスの指導者を標的としているとイスラエルが述べる南部への空爆によって女性や子供も犠牲になっていることを指摘する。

デモと怒りの反応は収まらなかった。警察によると、30万人のパレスチナ人支持者がロンドンで平和的にデモ行進したという。これは今回の戦争が始まって以来最大のデモとなった。右翼のデモ反対者らは警察と衝突した。

シファ病院で広がる恐怖

「砲撃と爆発がずっと止まりませんでした」と、シファ病院にいる数千人の避難民の一人であるイスラーム・マッターさんは語った。「ここにいる子供たちは、絶え間ない爆発音に怯えています」

保健省はアルジャジーラに対し、シファ病院にはまだ1,500人の患者と1,500人の医療従事者がおり、加えて1万5,000人から2万人の人々が避難所を求めていると伝えた。

シファ病院とガザ市の他の病院が攻撃を受けた際には数千人が脱出したが、医師は全員が避難することは不可能だと述べた。

シファ病院で働く「国境なき医師団」の外科医モハメド・オベイド氏は「自分たちだけ避難し、これらの患者を中に残していくことはできません」と述べた。

犠牲者の増加

ガザの保健省によると、戦争が始まって以来、1万1,070人以上のパレスチナ人が犠牲となり、その3分の2は女性と未成年者だった。保健省は民間人と戦闘員の死を区別していない。約2,700人の行方不明者が報告されており、瓦礫の下に閉じ込められているか死亡していると考えられている。

イスラエル当局者によると、イスラエル側では少なくとも1,200人が、主にハマスによる最初の攻撃で死亡したという。11日、イスラエル軍は5人の予備役兵士の死亡を確認した。地上攻撃が始まって以来、46人のイスラエル兵士がガザで死亡した。

イスラエルからハマスに拉致された240人近くは、依然として拘束されたままである。

約25万人のイスラエル人が、イスラエル軍とヒズボラ過激派が繰り返し銃撃戦を行っているガザ近郊やレバノンとの北部国境沿いのコミュニティから避難を余儀なくされている。

イスラエルのヨアフ・ガラント国防相は国境沿いに駐留する兵士と会談した後、「ヒズボラはレバノンを戦争に巻き込もうとしている」と述べた。

AP

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