
ガザ地区、カーン・ユーニス:20日、数千人の患者と避難民が数週間にわたり避難していたガザ北部の病院周辺で激しい戦闘が発生した。イスラエル軍は、ハマスの戦闘員が隠れるために利用しているとする医療施設の排除に注力している。
インドネシア病院へのこの進軍は、世界保健機関(WHO)がガザ市最大のアル・シファ病院から31人の未熟児を退避させた翌日に行われた。これらの乳児は、イスラエル軍が施設に入る数日前から、250人以上の重症患者や負傷者とともに同病院に閉じ込められていた。
ガザの病院の窮状は、この戦争がパレスチナ市民に課している残酷な代償の象徴となっている。この6週間にわたる戦争は、10月7日のハマスによるイスラエル南部への襲撃をきっかけに始まり、何千人ものパレスチナ人が殺され、またはがれきの下に埋もれる事態を引き起こしている。
イスラエルは、ハマスが民間人を人間の盾として使っていると主張している。一方、批評家たちは、イスラエルの包囲と容赦ない空爆は、領土内の230万人のパレスチナ人に対する集団的懲罰に等しいと述べている。
インドネシア病院の医療従事者マルワン・アブダラ氏は、窓からイスラエルの戦車が窓から見えると語った。「彼らが動き回り、発砲しているのが見える。女性や子どもたちは怯えている。爆発音と銃声が絶えない」
アルジャジーラ・テレビは、病院内から撮影されたと思われる映像を放映した。動画には、施設のすぐ外で戦車が発砲している様子が映し出されている。
アブダラ氏によると、病院では一晩中続いた空爆や砲撃で数十人の死傷者が出たという。医療スタッフや避難民は、イスラエルが病院を包囲し、退避を強制するのではないかと恐れているという。
イスラエル軍は、すぐにコメントを発表しなかった。同軍は通常、部隊の動きを公表していない。
乳児の退避
国連機関は、危篤状態にあった乳児をシファ病院からガザ南部の病院に安全に避難させることができた。乳児たちは隣国のエジプトの病院に移送する予定だ。ガザの病院長であるモハメド・ザクート氏によれば、避難前の2日間で、他に4人の乳児が死亡したという。
重篤な感染症やその他の緊急疾患を抱えた250人以上の患者がシファ病院に残っている。同院は、領土全域が停電する中、水、医療品、非常用発電機の燃料が底をつき、ほとんどの治療を提供できなくなっている。イスラエル軍は、数日間にわたり病院施設外でパレスチナ武装勢力と戦闘を行い、15日に施設に突入した。
イスラエル軍は、ハマスが病院の20エーカーの複合施設内部およびその地下に、広大な司令部を維持していることを裏付ける強力な証拠を持っていると主張している。これらの施設には、複数の建物、ガレージ、広場が含まれている。
同軍は、病院で発見された長さ55メートル、地下約10メートルのトンネルを映した動画を公開した。そのトンネルには階段と銃撃用と思われる穴があり、奥には防爆ドア(部隊はまだ先を確認していない)があるという。
APは、イスラエルが入手したとする物的証拠を独自に検証することはできなかった。軍が主張するこれらの証拠には、10月7日の攻撃でハマスに捕らえられたという2人の外国人人質、タイ人とネパール人の防犯カメラによる映像が含まれているという。
軍はまた、ガザで遺体を発見されたもう一人の捕虜、イスラエル軍のノア・マルシアーノ伍長に関する調査結果を報告した。彼女は11月9日のイスラエル軍の攻撃で負傷し、彼女を捕らえていた人物は死亡した。その後、彼女はシファ病院でハマスの過激派に殺害されたという。
ハマスと病院スタッフは、シファ病院の地下に司令部があるとする疑惑を否定している。ハマスの高官オサマ・ハムダン氏は今回の発表について、「イスラエル側は司令部があったと言った。つまり、この問題は単なるトンネル以上のものだということだ」と一蹴した。
4人に3人が避難民に
イスラエルはパレスチナ人に対し、ガザ北部を離れて南部に避難するよう繰り返し勧告してきた。国際連合人道問題調整事務所(OCHA)によれば、ガザの人口のほぼ4分の3に当たる約170万人が避難を余儀なくされており、そのうち90万人が、国連が運営する密集した避難所に押し込められているという。
ここ数日は、冷たい風と降りしきる雨のために、彼らの悲惨な環境はさらに悪化している。
パレスチナ保健省によると、ガザではこれまでに1万1500人以上のパレスチナ人が死亡している。さらに2700人ががれきの下に埋もれて行方不明になっていると報告されている。同省は死傷者数の報告において民間人と戦闘員を区別しておらず、イスラエルは、数千人の武装勢力を殺害したとしている。
イスラエル側では、10月7日のハマスによる攻撃で民間人を中心に約1200人が死亡し、約240人が捕虜としてガザに拉致された。軍によれば、これまでにイスラエル兵63人が死亡している。
ハマス側は4人の人質を解放し、イスラエル側は1人を救出した。
イスラエル、米国、そしてハマスを仲介しているカタールは、数週間前からさらに大規模な人質解放について交渉してきた。イスラエルの戦時内閣を構成する3人は20日の夕方、人質の家族の代表と会うことになっている。
AP