
イエメン、ホデイダ:イランが後ろ盾となるイエメンの反政府勢力フーシ派は22日、イスラエルの同盟国に対し、紅海の出入口に位置するバブ・エル・マンデブ海峡を航行する船舶は「正当な標的」であると警告した。
フーシ派が19日にイスラエル関連の貨物船を拿捕した後に警告したことで、イスラエルとパレスチナのイスラム主義勢力ハマスとの間のガザ紛争は、新たな局面を迎えた。
フーシ派が今回の紛争を理由にイスラエルの船舶を標的にすると脅しをかけてから数日後、ヘリコプターから降下した戦闘員が「ギャラクシー・リーダー」を拿捕し、多国籍の乗組員25人を拉致した。
船はバハマ船籍で、日本の組織によって運航されていた。
AFP通信と協力関係にあるカメラマンによると、ギャラクシー・リーダーは、フーシ派が支配下におくイエメン北西部のホデイダ港に停泊しており、厳重に警備されていた。
同船にはイエメンとパレスチナの国旗が掲げられていたという。
フーシ派は、自らをイランの同盟国や代理勢力の「抵抗の枢軸」に属する組織であると言明し、イスラエルに向けて連続してドローンやミサイルを発射している。
フーシ派系の軍事専門メディアがX(旧Twitter)に投稿した動画には、フーシ派海軍のムハンマド・ファドル・アブデルナビ司令官が拿捕した船に乗船する様子が映っていた。
同司令官は、「バブ・エル・マンデブ海峡の航行を保証する、敵であるシオニストの同盟国もまた、正当な標的とみなされる」と、商業的には極めて重要な紅海の出入口にある難所について語った。
「我々はシオニスト側に対して、バブ・エル・マンデブは越えてはならない一線であって、(中略)すべての(イスラエル関連の)民間船舶または軍船舶は、正当な標的とみなされると宣言する」と付け加えた。
この極めて重要な海路はイエメンとジブチの間の狭い海峡であり、相当な割合の世界の海上交通が利用し通過するところである。
世界で最も交通量の多い海上交通路のひとつで、世界の石油消費量の約5分の1が通過している。
専門ウェブサイト「マリン・トラフィック」によると、18日、自動車輸送船「ギャラクシー・リーダー」のレーダー信号がサウジアラビアのジェッダ港沖で消えた。
イスラエル軍は19日、今回の拿捕は「世界的な影響を及ぼす極めて重大な事件」と発表し、ある米軍当局者は「重大な国際法違反」であると述べた。
イスラエルによると、トルコからインドへと向かう船で、イスラエル人は乗船していなかった。
フーシ派は20日、19日の拿捕の様子と主張する映像を公開した。
映像には、武器を持ち覆面をした男たちが、ヘリコプターから動いている船に飛び下り、乗組員に銃を突きつけている様子が映っている。
「シオニスト側がガザへの攻撃をやめるまで、我々は戦闘任務を遂行する」。フーシ派の司令官がXに投稿された最新の動画の中で語った。