
イスタンブール: イスラエル情報機関のための「軍事的および政治的スパイ」の疑いで、容疑者2人がイスタンブールで拘束された。
容疑者らは、トルコでのビジネスを口実にパレスチナ人のソフトウェア・エンジニア、オマール・A氏に連絡を取ったと23日に報じられた。
この捜査は、イスタンブール主任検察官事務所によって、長年にわたる精査に基づいて実施された。
ラエド・ガザル氏はイスラエル情報機関と関係のある企業で働いており、トルコに拠点を置くパレスチナ人ソフトウェア・エンジニアのオマール・A氏が、ガザル氏から仕事の依頼を受けていたことが判明した。
容疑者のニコラ・ラドンジッチ氏とフアード・オサマ・フアード・ヒジャズ氏は、イスラエル情報機関に仕えていると特定され、仕事の依頼に関してオマール・A氏と協議するためイスタンブールを訪れた。
彼らは、準備していたプロジェクトのトライアルの報酬として、パレスチナ人プログラマーの口座に資金を送金した。
トルコのデイリー・サバ紙によると、オマール氏は1991年生まれで、ガザ・イスラーム大学のコンピューター・サイエンス学部を卒業した。 また、彼はガザ内務省向けのハッキング・プログラムも作成した。
このプログラムは携帯電話をハッキングできると伝えられており、イスラエルの注目を集めた。 彼はノルウェーのソフトウェア会社などから、「疑わしい」仕事の依頼を受けていたとされている。
オマール氏は、世界最高のソフトウェア開発者およびハッカーの1人であると考えられている。
彼は2020年3月に、仕事のためカイロからイスタンブールに移住した。 彼は、LinkedIn アプリケーションを通じてコンピューター・プログラミングとソフトウェアに関するリモート・レッスンを行なってきた。
彼はトルコでは、モサドの厳重な監視下に置かれており、モサドの工作員は2021年4月以降、イスタンブールに様々なスパイを派遣し、幾度か彼の採用を試みていた。 イスラエルの工作員らは、この若きプログラマーをヨーロッパに連れて行き、その後にイスラエルの首都テルアビブに密入国させようとしたとされている。
オマール氏が密出国することが明らかになると、トルコ国家情報機構が介入した。トルコ当局は同氏に国外に出ないよう警告した。
オマール氏は2022年9月に、マレーシアに15日間滞在し、トルコ国家情報機構は再度、不審な求人に関する警告をし、オマール氏の携帯電話に追跡プログラムを入れた。
オマール氏がマレーシアに上陸した後、ある組織が彼を山の家屋に連れて行き、そこで尋問と拷問をしたと報告された。彼はコンピューター・プログラムとハッキング・システムの詳細について質問され、イスタンブールで他のコンピューター・プログラマーと協力していなかったか尋問されたという。
携帯電話にインストールされたプログラムから彼の座標を追跡したトルコ国家情報機構の介入の後、この若きパレスチナ人はマレーシアの特別チームによって救出された。彼を拷問し尋問した組織はマレーシアで逮捕された。
共同作戦の後、トルコ国家情報機構はイスタンブールの対テロチームの支援を受け、オマール氏と接触した他のモサド工作員2名を逮捕した。
オマール氏は、トルコ国家情報機構管理下の安全な場所に身を置いていると伝えられた。
7月、トルコ国家情報機構は、アラブ系イスラエル人、トルコ国民、シリア人を含む56人のメンバーからなる、テルアビブ運営のスパイ組織を摘発した。逮捕された7人の工作員は、携帯電話のハッキング、GPSによる車両の動きの追跡、ネットワークへのハッキングなど、モサドのために働く任務を与えられていた。
トルコ国家情報機構は5月にも、イスタンブールにてイランを標的としたスパイ容疑で、イスラエルのモサド工作員数名を逮捕した。
この逮捕の決定は、昨年トルコとイスラエルが大使の再任に合意した後、ガザ戦争が始まり両国の外交関係が最低となった時期と重なった。