• アブディーブ氏はデザインの過程をこう説明する。「全力を尽くして（カリグラフィーで）書いた後、アクセサリーデザイン用の特殊なプログラムによってそのフレーズを3Dで描き出します」


リヤド：マリャー・アブディーブ氏のアクセサリー制作は、カリグラフィー用の筆をふるうことから始まり、詩や文学にインスパイアされた傑作のデザインで終わる。

ソーシングの専門家であるアブディーブ氏は、古代からの伝統的なカリグラフィー形式からその名をとったアクセサリーブランド「Mashq」の創業者だ。「Mashq」は「伸ばす」という意味で、このカリグラフィー形式においてはアラビア文字を「伸ばす」のだ。

彼女は、父が字を書き、母が手作りの品を生み出すのを見た幼い頃にインスピレーションを受け始めた。

両親がいかに自身のアートを触発したかについて、彼女はこう述べた。「父は素晴らしいカリグラファーです。私は、父の手によるアラビア語のカリグラフィーの美しさを見て育ち、それが今なお、私に刺激とモチベーションを与えてくれています」

「母はクリエイティブな魂の持ち主で、シンプルなおもちゃにしろ、芸術的傑作にしろ、何も無いところから素晴らしいものを生み出します。そのおかげで私は、あらゆる手作りのものに夢中になりました」

さまざまな国を旅行し、歴史的なアラビア文字で飾られた建造物を見た経験が、アブディーブ氏を新たな世界へ導いた。

ひとつひとつが個人的なストーリーを物語る、カリグラフィーが刻まれたアクセサリーに出会った時にも感銘を受けた。

イスラム芸術はアブディーブ氏の心の中で特別な位置を占めるもので、それは「広く紹介され、評価されるべき」ものだと、彼女は考えている。

「イスラムのデザインに関する本を読み、イスラム芸術に触発されたさまざまなデザインやフレーズについて学ぶのが好きです」と、彼女は語った。

新型コロナウイルス感染症によるロックダウンの間、アブディーブ氏はひらめきを得た。

彼女はこう思った。「自分が大好きな2つのもの、アクセサリーと手書きのアラビア語を組み合わせてみてはどうだろう」

それがMashq の始まりだった。

2021年3月に、アブディーブ氏は最初のコレクションを発売した。彼女は、各アクセサリーを作る過程にカリグラファー、デザイナーとして関わった。

彼女自身が好きなアラビア語の詩や文学作品の一句や一節を用いてデザインされている。

作品を身につけた時、フレーズが身につける人の気持ちの反映となったり、モチベーションの源となったりするというのが全体の構想です。

マリャー・アブディーブ氏・アクセサリーデザイナー

アブディーブ氏はデザインの過程をこう説明する。「全力を尽くして（カリグラフィーで）書いた後、アクセサリーデザイン用の特殊なプログラムによってそのフレーズを3Dで描き出します」

「それから、その作品のサイズやデザインに応じて、手作業もしくは機械によって作品を作り上げていきます」

アブディーブ氏によると、完璧なアクセサリー作品となるための鍵は、それが人をどんな気持ちにさせるかだという。

彼女は、さまざまなフレーズや、銀・金めっき・宝石などの素材を用いて、顧客が刻み込まれた言葉とのつながりを感じられるように、ひとつひとつの作品を作り上げる。

「作品を身につけた時、フレーズが身につける人の気持ちの反映となったり、モチベーションの源となったりするというのが全体の構想です」

アブディーブ氏にとって、Mashqのコレクションへの取り組みは、学びの過程となっている。

「一から始めたので、デザイン画から作品の修理まで、アクセサリー業界で非常に多くの知識を得ました」と、彼女は述べた。

アクセサリー業界について一から学ぶのは、実務経験の乏しい人にとって難しいことだが、アブディーブ氏は根気よく努力し、弱気にはならなかった。

彼女は将来、純金を用いたより大規模なコレクションを発表し、Mashqの男性向けコレクションを拡大したいと思っている。