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「サウジアラビアがパレスチナ問題で主導権を握れば『強力な影響力』を持つ」 マレーシア首相

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22 Oct 2023 11:10:06 GMT9
22 Oct 2023 11:10:06 GMT9
  • アンワル・イブラヒム氏は、サウジ皇太子のガザに関する「情熱的で時宜を得た」発言に感謝し、国際政治における「偽善」を批判した。
  • 彼は、「テクノロジー、活力ある経済、再生可能エネルギー」に焦点を当てた、王国の「近代国家」への変貌を称賛した。

ヌール・ヌガリ

リヤド:マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、ガザで展開されている状況を「狂気」と非難し、イスラエルの侵略を繰り返し非難しない西側指導者たちの「偽善」に世界は目をつぶっていないと警告し、ロシアのウクライナ侵略との顕著な相似性を指摘した。

20日にリヤドで開催されたGCC・ASEAN首脳会議の傍らでアラブニュースのインタビューに応じたアンワル氏は、中東の紛争は国際政治における「矛盾と偽善」の傾向を露呈したと述べ、「一方では人権について語りながら、他方では同じ権利を否定している」と指摘した。

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相。(AN/写真:Abdulrahman bin Shulhub)

「歴史と地政学を良く学ぶ学習者であれば、国際政治の舞台で多くの矛盾と偽善があることに必ずしも驚くことはないだろう」と彼は語った。

「例えば、ロシアがウクライナ内のロシアの飛び地を奪取したことを理由に、ロシアの侵略を非難する。公平だ。それは非難されるべきだ。しかし、イスラエルの侵略はパレスチナ人の合法的な土地を占拠しているが、それは容認されている。

「それだけでない。侵略は支持され、擁護されている。私たちは目を覚まし、続けることのできないこの明白な偽善に目を向けなければならない」

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はサミットの冒頭演説でこう述べた。「我々は集うにあたり、今日ガザが目の当たりにしているエスカレートする暴力、その結果として罪のない民間人が犠牲になっていることに悲しみを覚える」

皇太子は、「民間人に対する軍事作戦を停止すること。そして、1967年時点の国境線に従ったパレスチナ国家を樹立するための公正な解決に到達することを確実にするための、安定の回復と恒久的な平和の達成を目的とした条件を制定する」ことの必要性を強調した。

2023年10月20日、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、GCC・ASEANリヤド・サミットにおける初会合で、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談した。(SPA)

アンワル氏は、サウジアラビアの皇太子の発言は「情熱的で時宜を得ている」と表現しても「過言ではない」と述べ、アラブの指導者がガザの危機に対して「確固たる」立場を取るだけでなく、「人道的根拠」に基づいた立場を取ることが不可欠だと付け加えた。

アンワル氏は、即座の反応として、皇太子に感謝し、「私たちは、あなたが見ているもののために、そして、あなたとGCCとともにある。あなたが先頭に立てば、それは強力な影響力を持つだろう」と述べた。

アンワル氏は、戦闘を終結させ、より広範な戦争への拡大を防ぐためのサウジアラビアとGCCの努力を、マレーシアは全面的に支持していると述べた。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の発言は、サミットの指導者たちによるより広範な集団的嘆願の一環であり、彼らは紛争に関わるすべての当事者に対し、恒久的な停戦を実施し、ガザの民間人に対する攻撃を非難するよう求める声明を発表した。

さらに、国際人道法、特に戦時における文民の保護に関するジュネーヴ諸条約の原則と規定を遵守する必要性を強調するとともに、ガザへの人道援助、救援物資、その他の必要不可欠な必需品やサービスの提供を強く求めた。

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(SPA)

さらに、声明は人質や民間人拘束者、特に女性、子供、病人、高齢者の即時かつ無条件の解放を促した。

本サミットのコーディネーターとして演説したアンワル氏は、1967年時点の歴史的境界線に基づく二国家解決を望むサウジアラビア皇太子の意向を繰り返した。

アンワル氏は、事態が「前例のない人道的危機」に発展し、地域的、さらには世界的な紛争に拡大するのを防ぐため、すべての国々が団結して、長期的かつ公正な解決策を見出すよう呼びかけた。

「パレスチナ人には土地、家、財産を返還すべきである」と彼は述べた。「彼らは、東エルサレムを首都とし、1967年当時の国境線に基づく国際的に承認された主権国家において、平和を享受し、尊厳を持って暮らすことが許されなければならない」

イスラエルとハマスの対立がサミットに影を落とす一方で、両ブロックの首脳は、農業と食料安全保障、銀行と金融サービス、コネクティビティ、テロ対策、エネルギー、観光、貿易と投資、文化、教育、情報などを包括するロードマップ「2024-2028:GCC・ASEAN協力フレームワーク」を採択した。首脳陣はまた、マイクロ法人や中小企業の開発政策に関する共同戦略を模索することでも合意した。

「GCCとASEANは経済的に非常に活気のある2つの小さな地域グループであり、我々は大国の影響を受けることなく、GCCの驚異的な成長とASEANの持続可能性の強さから本質的に恩恵を受けるために、この協力関係に入った。その意味で、これは歴史的なことだ」とアンワル氏は語った。

「我々はサミットについて、何年も議論してきた、そして皇太子が、よし、私が主催しようと言ってくれた。皇太子のサポートと、GCCおよびASEAN諸国におけるすべての指導者の存在により、貿易と投資をさらに促進する方法に関していくつかの条件で合意できた。我々は興奮している」

マレーシアの指導者が湾岸諸国とASEANブロックの正式な提携に自信を持つ背景には、彼が過去10年間にわたって、サウジアラビアをはじめとする同地域の「驚異的な変化」を目の当たりにしてきたことがある。

若き大学院生として頻繁にリヤドを訪れていたアンワル氏は、この地域に精通しており、個人的にその変化の速度を目撃してきたと語った。

「王国の新技術、新エネルギー、人工知能への注力は、イスラム世界全体に反映されている」と彼は語った。「もちろん、人々には課題や議論や違いがある。しかし、サウジアラビアはその宗教的役割で知られているが、それでもテクノロジー、活気ある経済、再生可能エネルギーによって近代的な国家へとシフトしているのだ」

「これは、私たちの国が見るべき、特に魅力的な部分だ。アジアには産業投資の長い伝統がある。たとえばマレーシアは、産業の倉庫としての役割から、マイクロチップのフロントエンドになり、今やその分野でリードしている」

個人的な王国での経験に加え、アンワル氏はマレーシア首相として、毎年「膨大な」数のサウジアラビア人が観光に訪れる国を統治している。マレーシア政府観光局のデータによると、観光支出の面でマレーシアへの一人当たりの支出が最も多かったのはサウジアラビアで、年間約12万1000人が同国を訪れ、その数は増え続けている。マレーシア人もサウジアラビアを訪れたいと考えており、その魅力は等しく共有されているようだ。

「サウジアラビアとマレーシアの間には、何世紀にもわたって続いてきたある種の特別な関係がある」とアンワル氏は語る。「イスラム教またはイスラム化、ハッジ(巡礼)、反植民地活動など、あなたがどのような歴史的な記述を調査したとしても、そこに、伝統的な研究者とサウジアラビア、特に学問の中心地であるメッカ周辺とのつながりをみるだろう」

「そしてもちろん、ハッジも大きな要素だ。私は幸運にも若い大学院生だった。ジェッダにはハッジ・センターのある大学があり、私もよくそこを訪れた。そこでは、学び、必要な変化を起こそうという意欲を感じ取ることができた」

両国間の相乗的な交流の歴史にもかかわらず、アンワル氏はその流れに任せるだけでは満足しない。

アラブニュースの編集長補佐、ヌール・ヌガリと話すマレーシアのアンワル・イブラヒム首相。(AN/写真:Abdulrahman bin Shulhub)

「これで十分かと聞かれたら、私は十分ではないと答える。つまり、現状のプロセスを促進するだけでなく、加速させることができるような仕組みを作るべきだということだ。GCC・ASEANリヤド・サミットのような会議が重要なのは、一般的にそのためだと考えている。外務大臣だけでなく、国際貿易大臣もここに来たのはそのためだ」

「私たちが探求できる具体的な分野について、彼らがフォローアップする必要があるからだ」

アンワル氏は、サウジアラビアとマレーシアの結びつきや信頼関係は「非常に独特なもの」だが、協力という点においては、さらに達成できることが多くあると述べた。

「皇太子との二国間会談では、このことを強調したい」と彼は述べた。

「さらなる努力と、我々の歴史的な前例を活用して、新生サウジアラビアと新生マレーシアの間で、変化と新たな政権のもとで、新たな関係を築きたい」

「我々の協力関係は強化されるべきだ」

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