
テルアビブ:イスラエル軍は24日、週末のガザの戦闘でイスラエル兵14人が死亡したと発表した。地上作戦が始まって以来最も死者を出したこの戦闘は、何週間にもわたる激しい戦争にもかかわらず、ハマスが依然として戦いを続けている事を示している。
イスラエル軍の死者が増えていることは、イスラエルがこの戦争を支持するかどうかを左右する重要な要因となっているようだ。この戦争は、ハマス率いる武装勢力が10月7日、イスラエル南部のコミュニティを襲撃し、1200人を殺害、240人を人質に取ったことを受けて始まった。戦争はガザの一部を荒廃させ、約2万400人のパレスチナ人を殺害し、包囲された領土の人口230万人のうち85%近くを避難に追いやった。
ハマスが支配するガザの保健省は、ガザ地区ではこの1日で166人が死亡したと発表した。
イスラエル国民は、ハマスの統治能力と軍事力を粉砕し、残りの129人の捕虜を解放するという、イスラエルが掲げている目標を依然として支持している。この支持は、イスラエルの攻撃に対する国際的な圧力の高まりや、パレスチナ人死者数の増加やその前例のない苦しみにもかかわらず、ほぼ安定している。
しかし、兵士の死者数の増加――地上攻撃が始まって以来153人――により、その支持を損なう可能性がある。ほとんどのユダヤ人に兵役の義務があるイスラエルでは、兵士の死はデリケートな話題だ。死亡した兵士の名前は、常にニュース番組のトップで伝えられる。
クリスマス・イブの夜になっても、ガザでは戦闘の煙が立ち上っていた。一方、ヨルダン川西岸地区のベツレヘムでは休日の祝祭は中止された。
ハマスが支払わせる代償
22日と23日に殺害された14人のイスラエル兵は、ガザ中央部と南部で死亡した。これは、イスラエルが同過激派組織に深刻な打撃を与えたと主張するなかでも、ハマスが依然として厳しい抵抗を続けていることの表れである。
イスラエル陸軍ラジオによると、兵士が乗る車両に対戦車ミサイルが直撃し、4人が死亡した。
他の兵士は別々の戦闘で死亡した。イスラエル北部では、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラの攻撃で兵士が死亡した。ヒズボラは小規模な攻撃を続けており、より広範な地域紛争の恐れを高めている。
イスラエルのネタニヤフ首相は24日の閣議で、「戦争は我々に非常に大きな代償を強いているが、戦い続けるしかない」と語った。
10月7日に市民を守ることに失敗し、ハマスが年月を経て力を増すのを許した政策を推進したとして、ネタニヤフ政権に対する怒りが広がっている。ネタニヤフ氏は軍事および政策の失敗に対する責任を認めることを避けている。
22日夜、数千人の人々がテルアビブでデモを行い、「ビビ、ビビ、もうおまえはいらない」と、ネタニヤフ首相のニックネームを唱和した。
ガザ内部では
イスラエルの攻撃は、近年の歴史において最も破壊的な軍事行動のひとつである。ガザの保健省によると、殺害された2万人のパレスチナ人のうち3分の2以上が女性と子どもだという。同省は死亡者数において、民間人と戦闘員を区別していない。
パレスチナ赤新月社によれば、ガザのハーン・ユーニスで24日の朝、ハマスの指導者が潜伏しているとイスラエル軍が主張するアル・アマル病院内で、13歳の少年がイスラエル軍のドローンに射殺されたという。
イスラエル軍による夜間の攻撃は、エジプトとの国境にあるラファ市西部の難民キャンプにある家屋を直撃した。遺体が収容された病院のAPのジャーナリストによると、少なくとも男性2人が死亡したという。
24日の朝、パレスチナ人はガザ市北部のジャバリヤ地区で発生したイスラエル軍による激しい砲撃と銃撃を報告している。イスラエルは、同地域は既に制圧していると主張している。ハマスの軍事部門は、ジャバリヤおよびジャバリヤ難民キャンプでイスラエル軍を砲撃したと述べている。
「爆発音と銃声は止むことがなかった」と、ジャバリヤの漁師アサド・ラドワン氏は語った。
イスラエルは民間人の死者数について国際的な激しい批判にさらされている。これに対しイスラエルは、過激派組織が密集した住宅地やトンネルを利用しているためだとしてハマスの責任だと主張している。イスラエルは10月7日以来、何千回もの空爆を行なっているが、攻撃に関する具体的なコメントはほぼ避けている。
イスラエルはまた、攻撃中に住宅、避難所、病院、その他の場所に拘束されたパレスチナ人男性や10代の少年を虐待したという疑惑にも直面している。イスラエルは虐待疑惑を否定し、過激派とのつながりがない者はすぐに釈放されると述べている。
イスラエルによって釈放された後、ラファの病院の病床でAPの取材に応じたガザ市のカミス・アル=ブルダイニさんは、イスラエル軍による戦車やブルドーザーによって自宅の一部が破壊された後、拘束されたと述べた。男性たちは手錠をかけられ、目隠しされたと彼は語った。
「眠ることができなかった。食べ物も水ももらえなかった」と彼は泣きながら顔を覆って語った。
釈放されたもう一人の拘束者、ガザ市のシジャイヤ地区に住むモハメド・サレムさんは、イスラエル軍が拘束者たちを殴ったと語った。「私たちは屈辱を受けた」と彼は言う。「女性兵士がやってきて、72歳の老人を殴ることもあった」
イスラエルは数千人のハマスの戦闘員を殺害したと主張しているが、証拠は示していない。イスラエルはハマスの広範なトンネルネットワークを解体し、上位指揮官を殺害する作戦を進行中であり、同国の指導者たちは、作戦の遂行には数カ月かかると述べている。
国際的圧力
国連安全保障理事会は、飢えと絶望に苦しむパレスチナ人への人道援助の迅速な提供と、すべての人質の解放を要求するという、当初の草案を緩和した決議案を可決したが、停戦の要請は同決議案には含まれていない。
しかし、戦争前の1日平均500件をはるかに下回る援助物資の輸送が、いつ、どのように加速するのかは、すぐには明らかになっていない。トラックはエジプトとの国境にあるラファ、およびイスラエルとの国境にあるケレム・シャロームの2つの検問所から入る。パレスチナ検問所のワエル・アブ・オマール報道官によると、23日には93台の援助トラックがラファ検問所からガザに入ったという。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、人道的停戦を求める国連の要請を繰り返した。
「援助が必要な人々に届き、人質が解放され、さらなる避難民の発生を回避し、そして何よりも人命が奪われるのを食い止めるためには、ガザでの人道的停戦が唯一の道だ」と彼はXに投稿した。
欧州のイスラエルの同盟各国は戦闘の停止を強く求めている。しかし、イスラエルの最大の同盟国である米国は、民間人へのより大きな保護を求める呼びかけを強めつつも、イスラエルを堅く支持する姿勢を継続しているように見える。
ジョー・バイデン米大統領は、米国がより厳しい国連決議からイスラエルを守った翌日の22日、ネタニヤフ首相と会談した。バイデン氏は停戦を求めていないと語った。そして、ネタニヤフ首相の事務所は、首相は「イスラエルはすべての目標を達成するまで戦争を続けることを明確に伝えた」と述べた。
AP