
ハーン・ユーニス、ガザ地区:イスラエル軍は10日に、イスラエルの地上攻撃の中心地となっているガザ地区の街ハーン・ユーニスの地下トンネルに人質がいた証拠を発見したと発表した。
軍はこのトンネルを、破壊された家や通りの残骸付近の地区に案内した報道陣に公開した。住宅の庭にあるトンネルの入り口をトタン板の小屋が覆っていた。
間に合わせの梯子で、約2.5メートル(8フィート)下の狭い地下通路に降りることができる。トンネルは高温多湿で、壁はコンクリートと電気配線に覆われていた。さらに奥にはトイレがあり、軍はそこで人質のDNAなどの人質がいた証拠を発見したという。
「人質はこのトンネル網の中のここで拘束されていた」と、軍の主席報道官であるダニエル・ハガリ海軍少将が述べた。
ハガリ氏は、トンネルの中で正確に何が発見されたのかについて詳細は明かさず、人質がいた時期や人質の身元についても語らなかった。同氏は人質の生死が分かっているかどうかに言及しなかった。
同氏はその後のメディア向けの声明で、詳細は明かさずに、人質は「困難な状況」の中で拘束されていたと述べた。
11月下旬の停戦合意により解放された人質数人が、トンネル内に拘束されていたと説明した。このトンネルは、ハマスがガザ地区全体に張り巡らせたもので、イスラエルによれば、封鎖された同地区の全域に武器や戦闘員を密かに移送するために長期にわたって使用されていたという。
トンネルは、激しい戦闘にさらされたと見られる街の一角で発見された。近くの住宅はひどく損傷していた。
別の建物では、複数の部屋の壁が爆破されていた。埋まった爆発物を探すイスラエルのブルドーザーによるものとみられる大きな土の山が一帯を囲んでいた。イスラエル国旗が外壁に掲げられた空っぽの学校の外に、1台の戦車が停まっていた。上空ではドローンのものらしき音が鳴り響き、遠くの銃声が聞こえた。
ハマスはトンネル内で活動していると、軍は述べており、軍高官らはトンネル網の破壊を最大の目標としている。
イスラエル軍第98師団の指揮官であるダン・ゴールドファス准将は、トンネルは「720度の脅威」をもたらすものだと述べた。
「360度ではない。地下と地上で720度だ」と、ゴールドファス氏は語った。
イスラエルはまた、ハマスの指導者ヤヒヤ・シンワールがハーン・ユーニスのどこかのトンネルに潜んでいるとも考えている。
ガザで2番目に大きな都市である包囲されたハーン・ユーニスは、この数週間にわたってイスラエルのハマスとの戦争の中心地となってきた。10日の報道陣のためのツアーでは、地域に住民がいる様子はなかった。イスラエルは攻撃を進める中で、街の各地からの避難を住民に指示してきた。
イスラエル当局によると、ハマスとその他の武装組織は10月7日の苛烈な攻撃で1,200人を殺害し、およそ250人の人質を連れ去った。
この攻撃が戦争を引き起こした。ハマスが統治するガザの保健省によると、女性と子どもを主とする23,000人以上のパレスチナ人が殺害された。ガザに暮らす230万人の85%以上が避難を強いられており、同地の広範囲が破壊された。
約110人の人質は解放された。イスラエルによると、およそ110人が拘束されたままで、拘束下で死亡した約20人の遺体も留め置かれている。イスラエル軍により人質数名の遺体が回収されており、3名の人質は同軍に誤って殺害された。
イスラエル国民は、人質の苦境に多大な関心を寄せており、人質たちを10月7日に国が国民を守りそこなったことの不朽のシンボルとみなしている。
イスラエルは、ハマスの軍事力および統治能力の破壊とともに、人質の解放を戦争の目的のひとつとしている。
AP