
ラマッラー:占領地ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人は、イスラエルがジェノサイドを行っているとして南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に提訴した裁判を歓迎している。ガザでの軍事攻撃に対するイスラエルの責任を問う機会だという。
イスラエルは、この提訴を「酷く歪曲されたもの」表現して怒りを表明し、南アフリカがガザ地区のハマスに対する攻撃を止めようとすることは、自国を無防備にすることになってしまうと述べた。
しかし、多くのパレスチナ人にとって、今回の提訴は、イスラエルが歴史的に基本的権利を抑圧してきたとみなす状況に対して世界の注目を集めるチャンスであり、ヨルダン川西岸地区の多くの都市で南アフリカの国旗が掲揚された。
「イスラエルは、パレスチナの人々に対して犯した犯罪の上に築かれた」と、モハマド・シュタイエ首相はラマッラーのネルソン・マンデラ広場で開かれた集会で語った。そこでは、冬の雨をものともせず、行進する人々は「ありがとう、南アフリカ!」と唱和した。
イスラエルは、封鎖されたガザ地区を支配するハマスの戦闘員がイスラエルのコミュニティを攻撃した後、ハマス撲滅のために空爆と地上攻撃を開始したと述べた。
パレスチナ保健当局によると、10月7日からの3ヶ月間で、イスラエル軍の砲撃により、パレスチナ人23,400人以上(そのほとんどが子供と女性)が死亡し、約7,000人が瓦礫の下で行方不明になっていると見られている。
イスラエルは、南アフリカの裁判はジェノサイドという言葉を「武器化」して、イスラエル国家の存在を非合法化し、ハマスの責任を無視するものであるという。そもそもこの言葉は、第二次世界大戦中、ヨーロッパでナチスのユダヤ人に対するホロコーストを目撃したポーランドのユダヤ人によって作られたものだ。
南アフリカは1月12日木曜、イスラエルの攻撃はガザの「住民の破壊」をもたらすことを目的としていると裁判所に申し立てた。
同国は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相を含むイスラエルの政治的・軍事的指導者は「ジェノサイドの扇動者」であると述べた。
ガザに住む230万人の大半は、大部分が廃墟と化したガザ地区の家を追われ、医療システムはほとんど崩壊し、国連によれば、食料と医療援助の配達が制限されたことで、何千人もの人々が飢えと病気の危険に晒されている。
「これは、人道に対する試練だ」と、ヨルダン川西岸地区で限定的な自治権を行使しているパレスチナ自治政府を支配している、ファタハ運動の革命評議会メンバーであるバッサム・ザカルネ氏は語った。
ICJ提訴の背景として、ヨルダン川西岸地区では2年前から暴力がエスカレートしており、軍の定期的な襲撃によって数百人のパレスチナ人が死亡している。
同時に、ヨルダン川西岸地区ではユダヤ人入植地が拡大し続け、ユダヤ人入植者の武装グループによるパレスチナ人への攻撃は急増し、イスラエルの最も親密な同盟国からさえも国際的な非難を浴びている。
アルクッズ大学アブ・ディス校の元政治学教授であるアティエ・ジャワブラ氏(68歳)は、イスラエルが自国の犯罪のために国際法廷の前に立たされることを長い間待ち望んできたと語った。その淵源は、ナクバとして知られる1948年のイスラエル建国戦争におけるパレスチナ人の大量追放にまでさかのぼるという。
「イスラエル、米国、そして西側諸国は、歴史を通してイスラエルを法の対象外にしてきました」と彼は語った。
しかし、羊飼いのイッサ・タアムリ氏のように、この裁判が生活を変えることはないだろうと言う人もいる。
彼が住むヨルダン川西岸の都市ベツレヘム周辺では、イスラエルによる入植地の拡大が進んでおり、彼の所有する羊が草を食むことのできる地域は著しく狭められているという。
「世界は75年間も約束をしてきたのに、何の役にも立ちませんでした」
ロイター