
ダボス:米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、真の地域統合を実現し、イスラエルの長期的な安全保障を確立するためには、「パレスチナ国家成立への道筋」が必要不可欠であると述べた。
17日にダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会に出席したブリンケン氏は、イスラエルは「(パレスチナが国として成立しなければ)真の統合も真の安全保障も得られない」と語った。
ブリンケン氏は、アラブ・イスラム世界の指導者たちの考え方が変化し、イスラエルをこの地域に迎え入れることに対してより前向きになっていると話し、残る問題は「イスラエル社会がこれらの問題に取り組む準備ができているのか、イスラエル社会はこのような考え方を持つ心構えができているのかどうか」だと語った。
同氏は「中東における地域統合の大きなチャンス」について語り、「イスラエル人とパレスチナ人の双方」が直面している人類の悲劇を前に、統合に向けた迅速な行動を促した。
ブリンケン氏は、パレスチナ国家を含めた統合は地域を一体化し、イランとその代理的組織(紅海で商船を攻撃・拿捕しているイエメンの武装組織フーシ派など)を孤立させるだろうと述べた。
しかし、氏は「そのためには、住民のためにより効果的に行動できる、より強い改革パレスチナ政府が必要不可欠である」と強調し、イスラエルの反対ではなく、イスラエルの支援を受けて運営されなければならないと述べた。
「最も実効的な能力を持つ政府であっても、イスラエル政府の強い反対があれば、多くの問題を抱えることになる」と氏は語った。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、パレスチナの国家化に反対する右派政権を率いており、長年にわたる自らの行動によってそのような国家の成立を阻止してきたと、ネタニヤフ首相自身が最近発言している。
ブリンケン氏は、イスラエルが「我々がそこにあると信じるチャンスをつかむ」ことができるかどうかを決めるのは、イスラエル人次第だと述べた。
氏は「パレスチナ人は、人々が望むものを実現できる、より実効能力のある統治体制をどのようにすれば現実化できるかを真剣に検討している」と述べ、パレスチナ政府が汚職の撲滅や透明性の向上など、根本的な問題に取り組んでいることに触れた。
ユダヤ人の命はパレスチナ人の命よりも大切かと問われ、ブリンケン氏は「全くもってそんなことはない」と答えた。
氏はガザの光景を「胸がえぐられるよう」と表現し、「罪のない男性、女性、子供たちの苦しみを見ていると、胸が張り裂けそうになる」と述べた。
「問題は何をすべきかだ」と氏は語った。
イスラエルは、武装組織ハマスが10月7日に一連の攻撃を開始した後、ガザに今回の戦争を仕掛けた。これまでに24,000名以上のパレスチナ人が死亡、61,000名以上が負傷し、多くの人々が瓦礫の下敷きになった。
激しい爆撃でガザの大部分は廃墟と化し、住民は飢餓寸前に追い込まれている。