Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 国連事務総長、イスラエルが二国家共存を拒否すれば世界の平和が脅かされると警告

国連事務総長、イスラエルが二国家共存を拒否すれば世界の平和が脅かされると警告

2024年1月23日、国連本部での安全保障理事会の会合で発言するアントニオ・グテーレス国連事務総長。(AP)
2024年1月23日、国連本部での安全保障理事会の会合で発言するアントニオ・グテーレス国連事務総長。(AP)
Short Url:
24 Jan 2024 07:01:10 GMT9
24 Jan 2024 07:01:10 GMT9
  • 「ガザの全住民が、近年では類を見ない規模と速度で起きる破壊に耐えている」と、国連安全保障理事会でグテーレス国連事務総長が語った
  • グテーレス氏は人道目的の即時停戦を改めて訴えた

国連:国連事務総長は23日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が二国家共存を拒否すれば、紛争が永遠に続き、世界の平和を脅かし、世界中の過激派を勢いづかせることになるとイスラエルに対して警告した。

「パレスチナ人民が完全な独立国家を樹立する権利はすべての当事者から認められるべきで、いかなる当事者による二国家共存の拒否は断固として拒絶する」アントニオ・グテーレス国連事務総長は安保理閣僚級会合で、イスラエル・ハマス戦争に関して非常に厳しい言葉でこのように述べた。

「これほど多くのパレスチナ人が真の自由、権利、尊厳の感覚を持たずにガザ地区内に留まっているところで、一国家解決という代替案は想像だにできない」

同氏はまた、レバノン、イエメン、シリア、イラク、パキスタンを取り上げ、地域での紛争の激化のリスクが「今や現実になりつつある」と警告した。同氏はすべての当事者に対し、「この瀬戸際状態から一歩下がって、戦争の拡大による法外な代償について熟慮する」よう促した。

ネタニヤフ首相は、いかなる戦後のシナリオにおいてもパレスチナ国家樹立を拒否しているため、イスラエルの一番の同盟国である米国との間で深い溝ができている。この戦争をイスラエルとパレスチナが平和裏に共存できる二国家共存の交渉の端緒にしなければならない、と米国は主張している。各国の閣僚や大使が23日に繰り返したように、この目標は世界中の国々によって支持されている。

ウズラ・ゼヤ米国務次官(民間安全保障、民主主義、人権担当)は安保理で、「米国外交が重視しているのは、パレスチナ国家樹立への道筋と、イスラエルと地域のその他国家間との正常化と統合への道筋の両方を追求することだ」と述べた。

「目標は、ガザ地区が二度とテロの拠点として利用されない将来、そしてパレスチナ人が自らの国家を樹立する将来」と同次官は述べ、イスラエルに対してパレスチナの民間人を保護するために一層の努力を求めるバイデン政権の要求を繰り返した。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、米国の外交は「停戦決議案に拒否権を行使すると同時に、ガザでの戦闘の強度軽減を求めており、この二つの間で揺れ動いている」と反論した。

「これでは紛れもなく、パレスチナ人に対して今も続く集団的懲罰に対して何の制約も科さないことになる」と、ラブロフ氏は安保理で語った。

グテーレス事務総長は当初から続けてきた、世界から圧倒的な支持を得ている人道的停戦の呼びかけを繰り返した。

しかし、イスラエルのギラード・エルダン国連大使は再び停戦を拒否した。10月7日にイスラエル南部で残忍な襲撃を行ったハマスが再び攻撃し、イスラエルを破壊すると誓っている以上、戦闘停止はハマスに「再編成と再武装」を可能にするだけと主張した。

同氏は安保理に対し、同氏がイランと名指しする、紛争の「根本原因を取り除く」よう要請した。

同氏はイラン外相が安保理に出席していることを激しく非難し、イランがハマス、レバノンのヒズボラ戦闘員、イエメンの反政府武装組織フーシ派に武器を提供していると指摘した。「近々、核の傘の下で守られながらこのような行為が行われることになるだろう。そしてイランの恐怖が皆さんの国にまで及ぶことになるだろう」

イランはこれまでずっと、核兵器の開発を否定しており、核開発計画は完全に平和目的であると主張している。しかし、国連の核監視機関は、イランが核爆弾の製造を決定した場合、製造するのに十分な濃縮ウランを保有していると警告している。

イランのホセイン・アミラブドラヒアン外相は自国の核開発計画には言及しなかったが、イスラエルが目標に掲げる、ハマスの殲滅は達成できないだろうと警告した。

「ガザ地区とヨルダン川西岸地区での民間人の殺害は、いわゆるハマスの完全な殲滅まで続くことはない。なぜなら、そのような時は決して訪れないからだ」と、同氏は主張した。「ガザでのジェノサイド(民族集団虐殺)を阻止することが、この地域の安全保障にとって一番の鍵となる」

パレスチナのリヤード・マーリキー外相は、イスラエルが第二次世界大戦以来「最も残忍な爆撃作戦」を実施しており、これが民間人の飢餓と大規模な強制移住につながっていると述べた。「これは、無数の罪のない人々の命を奪う残虐な攻撃である」

ハマスが支配するガザの保健当局によると、戦争開始以来、2万5000人以上のパレスチナ人が殺害された。ガザ地区は広範囲にわたり破壊され、住民230万人の推定85%が退避を強いられており、4分の1が飢餓状態にあるという。

イスラエルは、自国の約1200人がガザの過激派組織によって殺害され、約250人が人質として捕らえられた10月7日の襲撃の報復として、軍事作戦を開始した。

マリーキー氏は、イスラエルがパレスチナ人を人間として、「共存すべき政治的現実」として見ておらず、死亡、強制移住、征服を通じて排除すべき人口の脅威とみなしていると述べた。これらがイスラエルからパレスチナ人に差し出される選択肢であり、「ジェノサイド、民族浄化、アパルトヘイト(人種隔離政策)」同然であると指摘した。

同氏によると、将来の道は次の二つしかないという。一つはパレスチナの自由の獲得から中東の平和と安全へと至る道、もう一つはパレスチナの自由を否定し、「我々の地域をさらなる流血の惨事と終わりのない紛争へと追いやる」道である。

今月、安保理の議長を務めるフランスのステファン・セジュルネ新外相が会合で、「地域の大惨事が現実のものになる」と警告した。

同氏は、世界が結束して紛争当事者にさまざまなメッセージを届けるべきと述べた。

同氏はイスラエルに対して、「パレスチナ国家を樹立させねばならない」、ヨルダン川西岸地区の住民を含むパレスチナ人に対する暴力行為を終わらせねばならないと伝える必要があると語った。そしてパレスチナ人に対しては、「イスラエルには平和で安全に暮らし、テロ行為には自衛権を行使する権利があり、この点についてあいまいにしてはならない」と伝える必要がある、とした。

しかし、トルコのハカン・フィダン外相は、この戦争がイスラエルの安全保障を確保するためであるという主張は「ほとんど説得力がない」と述べた。この主張を支持する側はパレスチナ人の安全保障と自衛権については決して触れないと指摘した。

ヨルダンのアイマン・サファディ外相は、「イスラエルの閣僚が公然と利用している憎しみの信念が、パレスチナ人の大量虐殺を常態化させている」と述べ、拘束力のある決議でこれを阻止するよう安保理に要請した。

イスラエルは戦争犯罪とパレスチナ国家樹立の阻止について、責任を問われなければならないと同氏は述べ、次のように続けた。「この地域の将来を、パレスチナ人を生きるに値しない人間の顔をした動物と呼び、自国の入植者にパレスチナ住民へのテロ行為をけしかけるイスラエル過激派の政治的な野心や過激な目標の人質にするなどあってはならない」

AP

特に人気
オススメ

return to top