
ジュネーブ/パリ:世界保健機関(WHO)は30日、国連のパレスチナ難民救済機関への資金拠出をめぐる論争は、ガザの人道危機から注意をそらすものだと指摘した。
世界保健機関(WHO)は各国政府に対し、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への支援継続を促した。10月7日のハマスによる攻撃にUNRWAの職員数名が関与していたとするイスラエルによる非難を受け、主要支援国数か国が資金拠出を停止している。
WHOのクリスチャン・リンドマイヤー報道官はジュネーブで行われたメディアブリーフィングで、「犯罪行為は必ず処罰されるべきですが、この議論…(は)、ガザで毎日、毎時間、毎分起こっていることから注意をそらすものです」と述べた。
「この非常に重要な時期にUNRWへの資金拠出を停止しないよう各国に訴えます。(それは)支援を切実に必要としているガザの人々を傷つけるだけです」とリンドマイヤー報道官は述べた。
「この議論が重要であるのと同様に、現地の本当の問題を忘れずにいようではありませんか」
少なくとも12か国がここ数日、UNRWAへの資金拠出を停止している。
イスラエルの非難を受け、UNRWAは数人の職員を解雇し、調査を約束した。調査の具体的な内容は明らかにされていない。
リンドマイヤー報道官によると、UNRWAは戦争前に22の保健センターを運営していたが、1月中旬までの時点で、運営されていたのは6か所のみだったという。
「住民は本当に飢餓の瀬戸際にあり、日に日に状況は悪化しています」「栄養失調の人々は病気や感染症に非常にかかりやすいのです」と彼は述べた。
リンドマイヤー報道官は、UNRWAをめぐる論争は、ガザの死者数や、ガザの人々すべてが、きれいな水、食料、避難所にアクセスするのを阻む包囲状況から世界の関心をそらすもの、ガザに対する電気供給妨害から注意をそらすものだ、と述べた。
「それはまた、ガザ全住民(ほんの少し前まで安全地域と宣言されていた場所をさえ含む)への継続的な砲撃から注意をそらすもの、避難所、学校、病院への攻撃から注意をそらすものです」
主要NGOは、UNRWAへの資金拠出停止を非難している。
彼らは声明で、「イスラエルによる継続的な無差別砲撃と、意図的なガザへの支援妨害により、住民は飢餓、迫り来る飢饉、病気の蔓延に直面している」と述べた。
支援団体は、ガザにおける「悪化する人道的大惨事」と「迫り来る飢饉」を指摘した。
米国、ドイツ、日本を含むUNRWAの主要支援国の多くは、10月7日のハマスの攻撃にUNRWAの一部の職員が関与していたとするイスラエルの非難を受け、UNRWAへの資金拠出の一時停止を発表した。
オックスファムやセーブ・ザ・チルドレンを含む20ほどの主要慈善団体は、国連のこの救済事業機関が、ガザや中東の数百万人のパレスチナ人にとっての主要な支援提供者である点を強調した。
それらのNGOは共同声明で、「支援各国の資金拠出停止は、200万人以上の市民(半数以上は子どもたち)の人命にかかわる支援活動に影響を与えることになる」と述べた。
「イスラエルによる継続的な無差別砲撃と、意図的なガザへの支援妨害により、住民は飢餓、迫り来る飢饉、病気の蔓延に直面している」
支援団体を代表してノルウェー難民評議会が発表した声明によると、UNRWAの職員152人がすでに死亡し、145の施設が砲撃の被害を受けたという。「資金拠出が再開されなければ、すでに制限下にあるガザでの人道対応が完全に崩壊してしまうかもしれない」と彼らは述べた。