
ワシントン:米国は31日、ヨルダンで3人の米軍兵士を殺害したドローン攻撃は、イランが支援する民兵統括組織である「イラクのイスラム抵抗運動」によるものだと特定した。ジョー・バイデン大統領は攻撃への対応を検討している。
米国がイランに責任があると述べた後、イランは米国のいかなる攻撃にも「断固として対応する」と警告した。米国は、ヨルダン北東部にある前哨基地「タワー22」で40人以上の兵士を負傷させた28日のドローン攻撃への対応として、中東での報復攻撃の準備をしていることを示唆した。同基地は、隣国シリアに対する米国のプレゼンスを示す上で重要な役割を果たしていた。
国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は31日、米国はこの攻撃について、その傘下に過激派組織カタイブ・ヒズボラを含む「イラクのイスラム抵抗運動」によって計画され、資金提供され、扇動されたと考えていると述べた。彼はバイデン大統領が「適切な方法で対応することが重要だと考えている」と述べた。
カービー氏は、バイデン大統領は選択肢を検討し続けているが、「最初に目にしたものが最後になることはないだろう」と述べ、「対応は一度きりのものにはならないだろう」と付け加えた。
カービー氏は、イラクの民兵組織カタイブ・ヒズボラによる「イラク政府に恥をかかせないために、占領軍に対する軍事・治安活動を停止する」との声明を退けた。彼は、この組織の言葉を額面通りに受け取ることはできないとし、「彼らだけが我々を攻撃しているわけではない」と付け加えた。
米軍によると、31日の時点で、カタイブ・ヒズボラと他のイラン系民兵組織は、10月18日以来、イラクで67回、シリアで98回、ヨルダンで1回、合計166回の攻撃を米軍施設に対して行っているという。
アメリカは過去3カ月の間に複数回、民兵組織に反撃している。10月27日には、米軍の戦闘機がシリア東部のブーカマル近郊にある、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)およびイランが支援する組織が使用していた武器弾薬庫2カ所を空爆した。
またシリアでは、11月8日に戦闘機がデイル・エゾル、メイシュルン近郊にあるIRGCの武器貯蔵施設に爆弾を投下した。また、11月12日にはマヤーディーンのブルブル地区にある訓練施設とアジトを標的とした米軍の空爆が行われた。
12月26日、米軍はカタイブ・ヒズボラとその関連組織が使用するイラク国内の3カ所を空爆し、1月23日には、再びカタイブ・ヒズボラを標的に、イラク国内の3カ所を空爆した。
米国による攻撃の追加は、イスラエルがガザ地区で続けているハマスとの戦争によってすでに不安定になっている地域をさらに燃え上がらせる可能性がある。この戦争は、ハマスが10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、約250人を人質に取ったことから引き起こされた。それ以来、イスラエルの攻撃によって2万6000人以上のパレスチナ人が死亡し、200万人近くが家を追われており、イスラム世界全体に怒りが広がっている。
中東全域で暴力が爆発しており、イランはイラク、パキスタン、シリアで標的を攻撃し、アメリカは紅海での船舶への攻撃に対する報復として、イランが支援するイエメンのフーシ派に対する空爆を行っている。一部のオブザーバーは、イランを標的とする新たな攻撃の段階が、同地域を広範な戦争へと導く可能性を懸念している。
米海軍の駆逐艦は30日夜、フーシ派が発射した対艦巡航ミサイルを撃墜した。これは、重要な海上貿易ルートを巡回する米軍に対する最新の攻撃だった。米国は後にフーシ派を標的とする新たな空爆を実施した。
イランからの警告は、ニューヨークで、国連イラン大使アミール・サイード・イラヴァニ氏から最初に発せられた。イラン国営通信IRNAによると、彼は30日遅くにイランのジャーナリストたちにブリーフィングを行ったという。
「イスラム共和国は、どのような口実であれ、国やその利益、国民に対するいかなる攻撃に断固として対応する」と、IRNAはイラヴァニ氏の発言を引用して報じた。彼は、イランが実行可能な報復措置を「強力な対応」と表現したが、詳細については述べなかった。
国連イラン代表部は、イラヴァニ氏の発言に関するコメントや詳細な説明を求めた31日の要請には応じなかった。
イラヴァニ氏はまた、イランと米国がここ数日間、仲介者を通じて、あるいは直接メッセージを交換したという報道を否定した。カタールを拠点とし、カタールが資金援助している汎アラブ衛星チャンネル「アルジャジーラ」は先に、そのようなやり取りがあったと報じていた。カタールはしばしば米国とイランの仲介役を務めている。
しかし、イラン政府は、ヨルダンの基地に対する攻撃に対する米国の報復の警告を注視している。
「しばしば、我々の敵が脅威を高める。最近では米国の政府高官による言葉の合間にそうした脅威がちらついている」と、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の命令にのみ従う革命防衛隊司令官、ホセイン・サラミ将軍は31日に行われたイベントで述べた。「我々は彼らに言う、あなた方は我々を経験し、我々はお互いを知っている。我々はいかなる脅威も、それに応じることなく放置しない」
IRNAの報道によると、彼は「我々は戦争を望んでいるわけではないが、戦争を恐れているわけでもない」と付け加えたという。
カービー氏は、米国は「イランとの戦争を望んでいるわけではない。広範な紛争を望んでいるわけでもない」と述べた。
27日、イランの防空司令官は、同国の防空が「最高の防衛態勢」にあると述べた。これは、イランを通過または上空を飛行する商業航空に対しても懸念を引き起こしている。2020年に米国のドローン攻撃で将軍が殺害された後、イランの防空は誤ってウクライナの旅客機を撃墜し、搭乗していた176人全員が死亡した。
一方、紅海ではフーシ派による攻撃と、米国による反撃が続いている。
匿名を条件に軍事作戦について語った米国当局者は、米軍のF/A-18戦闘機は31日、発射準備をしていたフーシ派のドローン10機を攻撃し、破壊したと述べた。
民間の海上警備会社アンブリー(Ambrey)は、イエメンのアデン南西、紅海とアデン湾の間にあるバブ・エル・マンデブ海峡付近で、船舶がミサイルの標的にされたと31日の夜に報告した。フーシ派は、リベリア船籍のコンテナ船「コイ号」への攻撃の責任を主張した。同船の運営会社からのコメントはすぐには得られていない。報告されたミサイル攻撃が損害や負傷を引き起こしたかどうかは明らかではない。
30日の夜に発射されたミサイルは、アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦「USSグレイブリー」を標的にした、とアメリカ中央軍(CENTCOM)は声明で述べた。負傷者や被害は報告されていない。
フーシ派の軍事報道官、ヤヒヤ・サリー准将は、31日朝に発表した声明でこの攻撃の責任を主張し、「これはパレスチナ人の抑圧に対する勝利であり、わが国に対する米英の侵略への応答である」と述べた。
サリー師は、フーシ派が「数発」のミサイルを発射したと主張したが、米海軍はこれを認めていない。フーシ派の主張は過去にも誇張されることが多く、彼らのミサイルは時に陸地に墜落し、目標に到達しないことがある。
31日、米軍のジェット機が、フーシ派が支配するイエメンから発射されようとしていた地対空ミサイルを攻撃したと米当局者が述べた。ミサイルは即時の脅威と判断され、破壊された。同当局者は、公表に先駆けて詳細を提供することから、匿名を条件に語った。
11月以来、同反政府勢力は、イスラエルによるガザのハマスに対する攻撃をめぐって、紅海で繰り返し船舶を標的にしてきた。しかし、同組織はイスラエルとのつながりが希薄な、あるいは明確でない船舶を標的にすることが多く、アジア、中東、ヨーロッパを結ぶ世界貿易の重要な航路の船舶を危険にさらしている。
フーシ派は26日に商業船をミサイルで攻撃し、数時間にわたり火災が発生した。
米国と英国はフーシ派を標的に複数回の空爆を開始し、攻撃に影響を受けた水路を巡回する同盟国の軍艦と協力している。欧州連合(EU)もまた、フーシ派の攻撃から貨物船を守るため、3週間以内に紅海で海軍作戦を開始する予定だと、EUのトップ外交官は31日に述べた。
AP