
Najia Houssari著
ベイルート:レバノン政府が火曜日、コロナウイルスによる初の死者が出たと発表した。同国の保健相は、今回の死亡が「現状への対応の転換点となった」と警告した。
犠牲者のJean Khouryさん(57)はビブロスのObeidat出身で、ベイルートの病院で死亡が確認された。2月21日にエジプトからレバノンに帰国したが、WHO(世界保健機関)がエジプトを危険地域に指定していなかったため、感染の確認が遅れた。
「Khouryさんの感染が確認されたのは、エジプトから帰国した5日後でした。彼はビブロスの病院に入院し、その後、コロナウイルス感染患者の受け入れ態勢が整っているベイルートのRHUH(ラフィーク・ハリーリ国立大学病院)に転院しました。Khouryさんの容態は、月曜日までは安定していました」と、レバノンのハマド・ハッサン保健相は語った。
「今回の死亡は、現状への対応の転換点となりました。コロナウイルスの犠牲者の埋葬では特別な措置を講じます。今はこのような展開を踏まえた、現実的な対応が必要となっています」とハッサン保健相は述べた。
RHUHは現在も、感染が疑われる人を一日に数十人検査している。
同院の報告によると、約10%が隔離病棟に入院し、残りはコロナウイルスの潜伏期間に当たる2週間に渡り自宅での自己隔離を求められている。
病院によると、隔離棟では現在も3人の患者が危篤状態にあり、感染が確認された症例数は、火曜日に前日よりも11件多い計52件に増加したという。
その内の5人はビブロスの病院、2人はベイルートの病院に務めている。保健省はこれを、ウイルス感染拡大の観点から重大な展開であるとした。
感染の疑いに対する検査結果の確認を早めるため、4つの大学病院がRHUHと協力し、コロナウイルス感染検査を行っている。
「一日に行われる検査数は200件です。これは、RHUHの検査室で可能な検査数を上回る数です」と、私立病院組合の組合長を務めるスレイマン・ハルーン(Suleiman Haroun)氏は言う。
またベイルート銀行は、検査結果が出るまで、「予防策」として20人のスタッフに自宅での自己隔離を求めた。
従業員らが参加した社交行事の参加者の1人が、ウイルスに感染していたことが翌日確認されたのだ。
国際連合レバノン暫定駐留軍のアンドレア・テネンティ報道官は、軍人および民間人からなる1万1000人の平和維持要員をウイルスから守るため、「必要なあらゆる予防策」を取っていると述べた。
「マアラケ村に駐留する兵士の1人に、エジプトから戻ってきたあと症状があらわれました。
「医療部隊がこれを発見した時、我々はレバノン当局に連絡し、同兵士と接触したすべての人を隔離しました」と、テネンティ報道官は語った。
「検査の結果、感染は確認されませんでしたが、ウイルスの拡散を防止また制限するため、すべての軍人および民間人に対して厳重な医学的規則および措置を課しています」
レバノンの各省庁もウイルスの拡散防止に本格的に乗り出しており、文化省は火曜日にすべての博物館や美術館の閉鎖を発表している。
レバノン政府は、休校になった子供たちが公園で遊んでいるのを受け、公共の公園をすべて閉鎖した。
また、国民が外出を控え職場では予防策を講じるよう求められる中、大学、カフェ、映画館、劇場も閉鎖している。