エルサレム：ラザリーニ事務局長は、イスラエルがガザ地区を支援する国連の主要機関に対して経済制裁を行っており、戦争で荒廃した同地区にパレスチナ人110万人分の食糧を輸送するのを妨げていると述べた。

この制限によりイスラエルとUNRWAの間の危機は深まった。UNRWAはガザで戦争を引き起こすきっかけとなった10月7日の攻撃に職員の数人が参加していたとイスラエルから非難を受けて以来、活動の継続が脅かされている。

こうした非難により、米国などの主要なドナー国が国連機関への資金拠出を一時停止する事態となり、活動の先行きが危ぶまれている。

UNRWAのフィリップ・ラザリーニ氏は9日、トルコが派遣した食糧輸送船団がイスラエルの港湾都市アシュドッドで数週間足止めされていると述べた。

同機関は、協力しているイスラエルの請負業者がイスラエルの税関当局から「UNRWAの物品を一切処理しないよう命じる」電話を受けたことを明かした。

これにより米、小麦粉、ひよこ豆、砂糖、食用油など110万人分の1か月の食糧を乗せた1,049個の輸送コンテナが足止めを食らっている。一方、ガザの25%の世帯が深刻な飢餓状態に陥っている。

国連世界食糧計画（WFP）は9日、早ければ5月にもガザが飢餓に陥る可能性があると警告した。食糧支援を行う同機関の定義では、子どもの30%が栄養不良で、5分の1の世帯が深刻な食糧不足になり、1万人に2人が飢餓または栄養不良で死亡する状態を飢餓としている。

イスラエルは、UNRWAがハマスを許容、またはハマスに協力さえし、76年もの間パレスチナ難民危機を永続させてきたとして、同機関に対し激しく非難してきた。

UNRWAのジュリエット・トーマ広報部長は、UNWRAが長年保持していたレウミ銀行の口座も今週凍結されたと述べた。さらに、イスラエルの税関当局から今後は減税措置を与えないと通告されたという。

イスラエルのベザレル・スモトリッチ財務相は8日、「テロリストの支援者に税制上の優遇措置を与えない」とツイートした。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相と同盟を結ぶ極右派のスモトリッチ氏にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

UNRWAはエジプトのポートサイドから迂回して別の援助物資を輸送することができるが、こうした妨害によって、ガザへの支援物資配給という困難な仕事がさらに困難になるだろうとラザリーニ氏は警告した。ガザの230万人のうち約80%が戦争によって住む場所を追われている。

ガザのパレスチナ人に支援物資を供給しているのは主にUNRWAだが、イスラエルの砲撃やイスラエルとハマスの戦闘によって、支援物資を積んだ車列が通れないほど危険な地域が増えている。

ここ2週間、UNRWAはガザ北部にいるとみられる約30万人のパレスチナ人に支援物資を届けることができていない。WFPによると、ここは食糧不足が最も深刻な地域だ。

ラザリーニ氏は、その代わりに、ラファの仮説テント村に避難している130万人のパレスチナ避難民に注力していると述べた。ラファはエジプトとの国境にある街で、地元警察に支援物資を積んだ車列を配給場所まで護衛し、盗難を防いでもらっている。だが、イスラエルの戦闘機がラファを砲撃の標的にしているため、こうした活動もますます困難になっている。

AP