
エルサレム:イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は16日、イスラエルは圧力によってパレスチナ国家を容認することはないと述べた。イスラエルの主要同盟国である米国がパレスチナ国家の樹立に向けた計画を策定しているという、『ワシントン・ポスト』紙の報道を受けての発言だ。
「イスラエルはパレスチナ人の永住の地に関する国際的圧力を断固として拒絶する」と、ネタニヤフ首相はジョー・バイデン米大統領との電話会談のあとに発表した声明で述べた。「イスラエルはパレスチナ国家の一方的承認に対し、今後も反対しつづける」
ネタニヤフ首相は声明のなかで、パレスチナ国家樹立は現在のガザ戦争の引き金となった10月7日のハマスによるイスラエル攻撃への「大いなる報酬」になると述べた。このような合意はイスラエルとパレスチナ双方による直接交渉によってのみ成立すると、首相は主張したが、和平交渉は2014年以来開かれていない。
『ワシントン・ポスト』紙は15日、米国は一部のアラブ諸国(エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦、そしてイスラエルが国交樹立を長年模索するサウジアラビア)とともに中東地域の戦後計画の準備を進めており、そこにはパレスチナ国家樹立に向けた明確なタイムラインの策定が含まれると報じた。
同日、イスラエル高官はこうした動向に強い拒否反応を示した。ヨルダン川西岸地区の入植地に居住するベザレル・スモトリッチ財務相は、パレスチナ国家はイスラエルにとって「実存上の脅威」をもたらすと述べた。
2国家解決策とは、占領下にあるヨルダン川西岸地区とガザ地区にパレスチナ人国家を樹立し、イスラエルとの共存を図るものであり、この地域における西側諸国の方針の主軸となっている。
パレスチナ外務省は16日、ネタニヤフ首相の交渉の呼びかけはプロセスを再び頓挫させるためのものでしかないと述べた。「パレスチナ国家はネタニヤフ首相からの贈り物や厚意ではなく、国際法と法的拘束力のある国際決議に定められた権利である」と、外務省は声明を発表した。
パレスチナ国家樹立への障壁のひとつが、イスラエルが1967年の第三次中東戦争で占領した地域で拡大してきた入植地だ。大部分の国々が国際法違反とみなすこれらの入植地は、パレスチナ人コミュニティを分断している。
パレスチナの保健当局によれば、イスラエルはガザ戦争で2万8700人以上のパレスチナ人を殺害し、ガザ地区の大部分を焦土としたうえに、総人口230万人のほとんどを避難民とした。
イスラエルはハマス壊滅を目標に掲げる。ハマス戦闘員は10月7日、イスラエル南部の複数の町を襲撃し、イスラエル当局によれば1200人が殺害され、253人が拉致された。
ロイター