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ガザの影で、ヨルダン川西岸地区の入植者が制裁の対象に

写真に映る風景は、2024年2月14日、ヨルダン川西岸地区の街ヘブロン近郊にあるイスラエル人入植者による非認可入植地「メイタリム・ファーム」(AFP)
写真に映る風景は、2024年2月14日、ヨルダン川西岸地区の街ヘブロン近郊にあるイスラエル人入植者による非認可入植地「メイタリム・ファーム」(AFP)
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17 Feb 2024 08:02:01 GMT9
17 Feb 2024 08:02:01 GMT9
  • 約49万人のイスラエル人がヨルダン川西岸地区の入植地に住んでいるが、これは国際法上違法とみなされている。

パレスチナ自治区キルヤト・アルバ:イスラエル人入植者のエリー・フェダーマン氏はおそらくまだ知らないだろうが、今彼は国際的な制裁を受けている。

彼は今ガザでイスラエルのために戦っているが、イギリスは彼の英国での資産を凍結した。これは暴力行為をはたらくイスラエル人入植者を標的とする措置の一環として行われたもので、こうした措置にはあまり例がない。

12日、イギリスは渡航とビザ発給の禁止を含む制裁を発表した。対象者はフェダーマン氏と他の「過激派イスラエル人入植者」3人で、4人はパレスチナ人に対する人権侵害で制裁を科された。

英国外務省によると、フェダーマン氏はイスラエルが占領するヨルダン川西岸地区の南ヘブロン丘陵で、パレスチナ人の羊飼いの人たちを被害者とする「複数の事件」に関与していたという。

2024年2月13日、占領下にあるヨルダン川西岸地区のジェニン南方の村サーで、指名手配中の武装勢力を捜索していたイスラエル治安部隊の攻撃を受け破損した車を点検するパレスチナ人男性。(AFP)

フェダーマン氏の名前は、パレスチナ人襲撃に関わる過激派右派の間ではよく知られている。エリー氏の父親ノアム・フェダーマン氏は、何度も投獄されているイスラエルの過激派右派の中心人物だ。

エリーは制裁については「何も知らない」し、ガザに行ってからは「電話も持っていない」と、ノアム・フェダーマン氏は、キルヤト・アルバの入植地でAFPの取材に対しこう語った。彼はヘブロンの外れにあるこの入植地で暮らしている。

「息子は戦車のために整地を行う車両を運転している」ごま塩ひげを生やし、編み込み模様のキッパーをかぶったフェダーマン氏はそう語った。

イギリスの措置には驚いていないという。

「ここ数年、アナーキストや左翼が『丘の民』に対してそういう活動をしてきた」「丘の民」は彼が過激派のことを指して使う言葉だ。

2024年2月13日、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で、イスラエルのジェニン近郊の空爆で受けた家屋の損害を確認するパレスチナ人。(ロイター)

約49万人のイスラエル人がヨルダン川西岸地区の入植地に住んでいるが、これは国際法上違法とみなされている。そうした入植者は約300万人のパレスチナ人とともにそこで暮らしている。

パレスチナ人は、イスラエルの入植を戦争犯罪であり、和平の大きな障害だとみなしているが、イスラエル強硬派の多くは、そこに住むことが神との約束を果たすことだと考えている。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争で、ガザ地区と東エルサレムとともにヨルダン川西岸地区を占領した。

10月7日にハマスの武装勢力によるイスラエルへの攻撃が戦争を引き起こした。それ以降パレスチナ人が非難してきたのは、イスラエルによるガザへの報復砲撃による民間人死亡を防ぐために、西側諸国の政府がイスラエルに十分な圧力をかけていないことだ。

それ故ノアム・フェダーマン氏は、欧米の制裁はイスラエルに対して「公平な」立場を示そうとするものだと見ている。

イギリスの措置の前には、2月1日にアメリカがヨルダン川西岸地区の住民に対する暴力行為でイスラエル人入植者4人に制裁を科し、2月13日にはフランスが28人に制裁を科していた。

イスラエルの入植者たちは2023年、占領下のヨルダン川西岸地区で少なくともパレスチナ人を10人殺害し、数十軒の家屋に放火したが、イスラエルの人権団体イエシュ・ディーンによると、入植者による攻撃について記録上「最も暴力が激しい」年が2023年となった。

米英両国が標的とした人物の中に、ノアム・フェダーマン氏の義理の息子、イノン・レヴィ氏がいる。

米英両国はレヴィ氏について、違法入植地メイタリム・ファームの入植者たちを率いて、パレスチナ人やベドウィンの住民に暴行を加え、畑に火を放ち、所有物を損壊したとして制裁を科した。

レヴィ氏は2021年、ヨルダン川西岸地区の最南端に非認可入植地を設けた。

彼とそこで暮らしているのは、妻のサピル氏、馬3頭、子羊約200頭、他人が近づくと「ビッビッ」と力強い音を出す監視カメラだ。

地元メディアは、レヴィ氏がキルベト・ザヌタの破壊に関与したとの疑惑を抱いている。キルベト・ザヌタはここから数百メートル離れた場所にあるパレスチナ人の村だ。

キルベト・ザヌタはC地区と呼ばれる地域に含まれる。C地区は、ヨルダン川西岸地区の中でイスラエルの完全な支配下にある区域だ。この村は過去に何度も公式の解体命令を受けている。

10月末、ついに何者かが村とその仮設住居を破壊した。

「入植者たちのせいで私たちの生活はすごく苦しくなりました」と、地元評議会の議長ファイエズ・アル・ティル氏は語った。ティル氏は入植者に対する欧米の制裁を歓迎した。

イスラエルの監視団体「ピースナウ」が15日に発表したところによれば、イスラエルの入植者らは昨年、ヨルダン川西岸地区に過去最多となる26箇所の非認可入植地(公式に承認されていない入植地)を設けたという。

ピースナウによれば、この数字には10月7日にガザ地区で戦争が勃発して以降に設けられた約10カ所が含まれているという。

こうした入植地は、簡素な移動式住居から始まり、他の入植者がそこに移動するにつれて拡大していくことがある。
パレスチナ人に対する入植者の暴力は、戦争が始まって以降増加している。

制裁を受けてレヴィ夫妻の口座は凍結された。その銀行はアメリカに支店があり、国際的な金融通信事業であるSWIFTに加盟しているからだ。

イスラエル議会の経済委員会は14日、レヴィ氏に関する緊急会議を開いた。

同委員会委員長で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が党首を務めるリクードに所属するデイヴィッド・ビタン氏は、政府が行動しなければ「問題は解決しない」と述べた。

ノアム・フェダーマン氏は、レヴィ夫妻は銀行のカードが使えなくなったものの「入植者たちからだけでなくイスラエル全体から」寄付金を受け取っていると語り、制裁を通じて夫妻に対して実行された「強盗」行為について非難した。

彼は、ガザで戦っている息子エリーにも同じ問題が起こると予測する。

「息子の給料が支払われるはずの銀行口座が凍結されたらどうなるのだろう」とフェダーマン氏は尋ねた。「息子は兵士だ。こんなことが起きたら、イスラエル軍にとって非常に恥ずかしいことだと思う」

AFP

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