• 中国・インドから製品を調達する小売業者は遅延とコスト上昇に直面している
• フーシ派、石油タンカー「ポラックス」への攻撃を認める

ジェッダ：ヨーロッパに拠点を置くグローバル小売チェーンは16日、EUに対し、国際貿易を阻害している紅海でのフーシ派による商船攻撃を抑止するために緊急対策をとるよう訴えた。

親イラン武装勢力のフーシ派は11月中旬以降、ミサイルとドローンによる攻撃を繰り返しており、海運会社はコンテナ船のルート変更を強いられ、アジアから欧米への製品輸送にスエズ運河を利用する小売企業のサプライチェーンに混乱が生じている。

17日、イエメンの親イラン勢力フーシ派は、紅海を航行していた英国の石油タンカー「ポラックス」へのミサイル攻撃を実行したと、フーシ派のヤフヤ・サレア軍事報道官が声明を発表した。

米国務省は16日、原油を積んでインドに向かっていたパナマ船籍のタンカー「ポラックス」の左舷にミサイルが着弾したと述べた。

中国、インド、東南アジアの工場から製品を調達する小売企業は、アフリカ大陸南端を経由する代替海運ルートにより、遅延とコスト上昇に直面している。このルートはスエズ運河に比べ航行日数が最大3週間長く、燃料費と人件費がかさむ。

小売企業がつくる業界団体ユーロコマースはベルギー外相に対し、フーシ派の攻撃はすでに事業に「甚大な影響」を与えていると陳情した。

「海運会社のルート変更が長引くほど、企業は追加コストに苦しめられ、結果的に消費者は、もとから高いヨーロッパの生活費のさらなる高騰にあえぐことになる」と、ユーロコマースは述べた。

「事業とグローバルなサプライチェーンへの甚大な影響を鑑みて、われわれはEUの付属機関およびEU加盟国に対し、既存の協調的な取り組みを継続し、さらに強化することで、現状への対策をとることを要請する」

ユーロコマースの加盟企業には、大手スーパーマーケットのアホールド・デレーズ、カルフール、リドル、M&S、テスコ、ファッション小売のH&M、インディテックス、プリマークなどがある。

インドでも危機感は高まっている。「先週、わが社は送料の上乗せが必要ないポーランドの競合他社に大口注文を奪われました」と、コルカタで年間約700のコンテナを発送するエンジニアリング企業を経営するアトゥル・ジュンジュンワン氏は語る。

「何十年も一緒に仕事をしてきた得意先を失って、やっていける企業なんてありませんよ」と、彼は肩を落とした。

ロイター