Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

ガザで増加する栄養失調により脅かされる子供たちの命

ガザ地区南部のラファにある公立学校で、食事を受け取ろうと集まるパレスチナ避難民の子供たち(2024年2月19日)。(AFP)
ガザ地区南部のラファにある公立学校で、食事を受け取ろうと集まるパレスチナ避難民の子供たち(2024年2月19日)。(AFP)
Short Url:
20 Feb 2024 12:02:42 GMT9
20 Feb 2024 12:02:42 GMT9
  • 状況は特に北部で深刻で、2歳未満の子どもの6人に1人が急性栄養失調になっている
  • 報告書によると、5歳未満の子供の少なくとも90%が1つ以上の感染症にかかっている

アラブニュース

ジュネーブ/ニューヨーク/ローマ:グローバル・ニュートリション・クラスター(GNC)が発表した新しい総合的な分析によると、ガザでは子供たちと妊娠中・授乳中の女性たちの間で栄養失調が急増しており、彼らの健康が重大な脅威にさらされている。

今なお続く紛争が20週目に入ったガザ地区では、食料と安全な水の深刻な不足によって病気が蔓延し、女性と子どもの栄養状態の悪化および免疫力の低下が見られ、急性栄養失調が急増している。

ガザにおける栄養失調の危険性と状況分析」と題する報告書によると、援助が数週間にわたってほぼ完全に断たれているガザ地区北部において、状況が特に深刻である。北部の避難所と保健所で行われた栄養状態調査によると、2歳未満の子どもの6人に1人(15.6%)が急性栄養失調であることがわかった。このうちの3%近くが、栄養失調のなかでも命に最も危険を及ぼす重度の消耗症に苦しんでおり、治療を緊急に受けなければ、幼い子供たちが合併症や死の極めて高い危険にさらされる。このデータは1月に収集されたものであるため、現在の状況はより深刻である可能性が高い。

援助をより受けやすいガザ地区南部のラファでも同様の調査が行われ、2歳未満の子供の5%が急性栄養失調であることがわかった。これが明確に示すのは、人道援助へのアクセスが必要であり、援助の提供が最悪の結果を防ぐのに役立つということだ。また、軍事作戦の激化による脅威からラファを守るようにとの各機関の呼びかけを後押しすることにもなる。

「ガザ地区では、未然に防ぐことが可能な子供の死が爆発的に増加していて、すでに耐え難い水準に達している子供の死者数がさらに増える可能性があります」と、ユニセフの人道支援活動・物資供給担当事務局次長であるテッド・チャイバン氏は語った。「私たちは何週間も前から、ガザ地区が栄養上の危機に瀕していると警告してきました。紛争が今終わらなければ、子供たちの栄養状態は急速に悪化し続け、未然に防げる死や健康問題を招き、それがガザの子供たちに生涯影響を与え、ひいては世代を超えて影響をもたらす可能性があります」

ここ数か月にわたる紛争が起こる前は、ガザ地区における消耗症はまれで、急性栄養失調を患う5歳未満の子供の割合はわずか0.8%であった。ガザ地区北部の2歳未満の子供の15.6%が消耗症にかかっているというデータは、栄養状態の深刻かつ急速な悪化を示している。3か月でこれほどまでに栄養状態が悪化するのは、世界的にも前例がない。

食料と水のほか、保健と栄養に関するサービスが驚くほど不足しているため、ガザ地区全域で栄養失調者が増え続ける危険性が高い:

  • 2歳未満の子供の90%と妊娠中・授乳中の女性の95%が深刻な食料不足に直面しており、これは前日に摂取した食品群が2種類以下であることを意味する。また、手に入る食料は栄養価が最も低いものである。
  • 95%の世帯が食事とその分量を制限しており、64%の世帯が1日1食しか食べていない。
  • 95%超の世帯が、幼い子供が食べられるよう、大人の食事量を制限していると回答している。

「ガザで見られる栄養失調の急増は危険なことですが、完全に予防可能です」と、世界食糧計画(WFP)のプログラム運営担当事務局次長を務めるヴァレリー・グァルニエリ氏は語った。「特に子供と女性は、体に良い食べ物、きれいな水、保健・栄養に関するサービスを常に必要としています。そのためには、治安と受けられる人道援助を決定的に改善し、援助がガザに入るための入口を増やす必要があります」

安全な飲料水が不十分であるほか、調理用水と衛生用水も不十分であるため、栄養失調が一層深刻化している。調査を行った世帯が利用できる安全な水は、平均して1人1日あたり1リットル未満であった。人道的な基準では、緊急時に最低限必要な安全な水の量は1人1日あたり3リットルで、一般的な基準としては、飲料用・洗濯用・調理用に十分な量は1人あたり15リットルとされている。

ガザでは、空腹、のどの渇き、衰弱のため、病気になる住民が増えている。同報告書によると、5歳未満の子供の少なくとも90%が1つ以上の感染症にかかっている。70%が過去2週間以内に下痢をしており、2022年を基に比較すると23倍に増加している。

世界保健機関(WHO)の健康危機プログラム担当事務局長を務めるマイク・ライアン博士は、「飢えと病は致命的な組み合わせです。空腹で弱り、心に深い傷を負った子供は病気になりやすく、病気の子供、特に下痢をしている子供は栄養を良く吸収できません。これは危険かつ悲劇的なことで、私たちの目の前で起きていることなのです」と語った。

特に人気
オススメ

return to top