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アメリカ、ガザ停戦を求める国連安保理決議案に対し4度目の拒否権行使

2024年2月20日、ニューヨークの国連本部で、イスラエルとハマスの紛争についての国連安保理の会合で発言するアルジェリアのアマール・ベンジャマ国連大使。(AFP)
2024年2月20日、ニューヨークの国連本部で、イスラエルとハマスの紛争についての国連安保理の会合で発言するアルジェリアのアマール・ベンジャマ国連大使。(AFP)
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21 Feb 2024 12:02:33 GMT9
21 Feb 2024 12:02:33 GMT9
  • アメリカは戦争終結を仲介する交渉を主導しているが、アメリカ大使によれば、アルジェリアが起草した今回の決議案はそうした「難しい」交渉の妨げになるという
  • アルジェリア国連大使は「停戦を求める必要があると安保理が判断するまでに、どれだけの罪なき人の命を犠牲にしなければならないのか」と問いかけた

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク市:ガザでの紛争が始まって以来これで4回目だ。アメリカは20日、戦闘が続くガザでの即時停戦を求める国連安保理決議案に対して拒否権を行使した。

こうした決議案は、アメリカが主導して現在進めている「難しい」交渉の妨げになるのだという。この交渉は戦争終結の仲介を試みるものだ。

アルジェリアが起草した今回の決議案には、理事国15カ国のうち13カ国が賛成票を投じた。イギリスは棄権した。

20日の投票について「無責任」だと語る、アメリカのリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使(スクリーンショット/UNTV)

「この決議は、殺人と憎悪の擁護者と対決する姿勢を示すものだ」。アルジェリアのアマール・ベンジャマ国連大使は採決の前にこう語った。

「この決議案に賛成するということは、パレスチナ人の生存権を支持するということだ。逆に反対票を投じることは、パレスチナ人に加えられた残忍な暴力と集団的懲罰を支持することを意味する。

「現在、パレスチナ人全員が、死と根絶とジェノサイドの標的となっている。停戦を求める必要があると安保理が判断するまでに、どれだけの罪なき人の命を犠牲にしなければならないのか」

ガザ地区保健省によれば、10月7日のハマスによる攻撃を受けてイスラエル軍が砲撃を開始して以降、ガザでは2万9000人を超えるパレスチナ人が死亡している。約7万人が負傷し、破壊された建物のがれきの下には数千人の遺体が埋もれているとみられている。

投票後ベンジャマ大使は、ガザでの殺りくの終結を求めて引き続き安保理に対してアクションを起こしていくと宣言した。「私たちは決してめげず、決して歩みを止めない」と同大使は続けた。

アメリカのリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、20日の投票について「無責任」だと語った。

トーマスグリーンフィールド大使は17日、現在進めている交渉を妨げる恐れがあるとして、アメリカが決議案の可決を阻止することを示唆していた。この交渉は、戦闘の一時停止と、ハマスやガザ地区の他のグループが拘束するイスラエル人の人質解放を仲介するものだ。

投票に先立って同大使は「安保理が今取るべき行動は、現在進めている難しい交渉を妨げることではなく支援することだ」と説明し、アルジェリアの決議案はこうした交渉の妨げとなるだけだと警鐘を鳴らした。

「ハマスに人質の解放を求める合意もなく、即時かつ無条件の停戦を要求しても、永続的な和平はもたらされない。それどころか、ハマスとイスラエルの戦闘を長引かせる恐れがある」

アラブ諸国も支持する今回の決議案は、即時停戦の要求に加えて人質全員の即時解放も要求している。またパレスチナ市民の強制移住について反対し、人道援助がガザの人々へ制限されることなく届くよう求めている。さらにこれまでの安保理の要求を繰り返して、イスラエルとハマスの双方に対し、国際法のルール、とりわけ民間人の保護に関するルールを「細心の注意を払って遵守」するよう求めている。また、どちらかの側を明確に名指しすることなく「あらゆるテロ行為」について非難している。

18日夜、アメリカはガザについての独自の代替決議案を提出したが、これは予想外の動きであった。この決議案も「停戦」を要求しているものの、「実行可能な限り速やかに」実施される一時的なものであり、「人質が全員解放されることを条件とする」ものだとしている。

アラブニュースが入手したアメリカの決議案は、イスラエルがガザ南部の都市ラファに対して軍事作戦を進めるべきではないと強く求めている。その理由は、そうした攻撃が「民間人へのさらなる被害と避難民の移住をもたらし、避難民が近隣諸国へ脱出する可能性もあるが、そうした事態が起きた場合、地域の平和と安全に深刻な影響を及ぼす」というものだ。

ラファは、ガザの他の地域での戦闘からやむなく逃れてきた100万人以上のパレスチナ人にとって、最後の避難先となっている。

外交筋によれば、アメリカの決議案はまだ安保理理事国に正式に提示されておらず、討議がまだ行われていない上採決の予定も立っていない。

しかし同外交筋によると、メディアの報道に基づくと決議案の文言が過剰であるように映り、停戦要求の言い回し、特に「実行可能な限り速やかに」実施される一時的措置であると表現し、誰がその時期を決めるのか明示されていないことに懸念があるという。これは、アメリカが停戦宣言の適切な時期をイスラエルの決定に委ねることを示唆しているのだという。

ワシリー・ネベンジャ露国連大使は、アルジェリアの決議案が採択されなかったことについてこう表現した。「アメリカ代表団が、国連安保理の歴史にまた新たな暗黒の章を書き加えた」

同大使は、アメリカの援護のもとにイスラエルが「ガザに対する非人道的な計画、とりわけパレスチナ人をガザ地区から追放し、ガザを完全に浄化して文字通り人が住めない土地に変える計画」を実行していると非難した。

ガザで繰り広げられる暴力の規模は「第二次世界大戦後に人類が遭遇したいかなる紛争も凌駕している。世論はもはや国連の不作為を許さないだろう」と同大使は続けた。

中国の張俊大使も今回の投票結果に対して失望を表明した。張大使によれば、アメリカの拒否権行使は誤ったメッセージを送って、ガザ情勢を危険な方向に向かわせるものだという。

「即時停戦に消極的態度を取ってこれを回避し続けることは、虐殺を続けることにゴーサインを出しているのと何ら変わらない」と張大使は主張した。

安保理で停戦決議に対して拒否権が発動される一方で、紛争の影響が他の地域に波及することで中東地域全体が継続的に不安定となり、戦争が拡大する危険性が高くなると張大使は言う。

「ガザでの戦争の炎を消さない限り、地獄の炎が地域全体を飲み込むのを防ぐことはできない」と張大使は続ける。「中東におけるこの殺りくを止めるために、安保理は速やかに行動しなければならない」

決議案に賛成票を投じたスロベニアのサミュエル・ジュボガル大使は、ガザでの民間人殺害をやめるよう求めた。

「今パレスチナ人が耐えている苦しみは、人間が通常受ける限度を超えるものだ」と同大使は語った。

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