
モハメド・エル=シャマー
不安定な教育システムの改善に向け、エジプトが世界上位5位に数えられる教育セクターを擁する日本からの支援を求めている。
自国の教育システムが世界ランキング130位に落ち込んだことを受け、エジプト政府は日本の支援を受けるのみならず、全国を通じて日本の教育技術を採用することも決定した。
教育に対する日本のアプローチは、封建国家から近代国家へ、さらに第二次世界大戦後の支援頼みの国から世界中の発展途上国に支援を提供する現在の経済大国へと、同国の移行を支える原動力となった。
2016年の訪日時、エジプトの アブドゥルファッターハ エル=シーシー 大統領は、日本政府関係者と政治、経済及び開発プログラムについて議論し、エネルギー及び再生可能エネルギーに関する協定に署名した。
また、同大統領は 日本の教育アプローチからも学びたいとし、日本の学校を訪問し、日本政府に対してエジプトへの日本の教育システム導入を支援するよう働きかけ、道徳と規律の強化に主眼を置いた日本のシステムを称賛した。
同大統領は当時、 国家の最善の利益に向けて尽力し、他者を尊重する個人を育てる上で教育が要となる役割を果たすと述べている。
エジプトでの教育改革に向けた協業の一環として、日本大使館は文化、技術及び専門分野での二国間のつながりの強化に務めてきた。
これまでに日本は、エジプトに専門家を送り、 将来を担う世代を築く基盤として重要な役割を果たす基礎教育に重点を置いたセミナーを各校で実施している。
あるセミナーでは、 日本の専門家が、 幼稚園や初等教育段階でゲームを使って子供の能力と探究心を伸ばすことで教育を推進する重要性を強調した。
教育専門家のオラ・エル=ハツェク氏は、 インタビューで、日本のシステムは、学校の建物、設備や備品の美化など、周囲の環境に始まり、生徒の集団的価値観と社会に対する責任を育むものだと語っている。
「日本の学校は清潔で整頓されていることで知られています。」同氏はこう語る。「学校を訪れた人が最初に驚かされるのは、学校の入口のロッカーや木の靴箱に、靴がきちんと収められていることです。 どの靴にも持ち主の名が記されています。 こうした習慣がどの小学校と中学校でも、また高校の多数でも根付いています。」
日本では、授業が終わると、生徒の多くが教室を掃除し、遊んだ後の片付けもする。
そうした中で教師もしばしば生徒に加わり、校内を清掃するだけでなく、 夏休みには公共の庭園や海岸の清掃にも参加する。生徒や教師が、こうした清掃活動をそれぞれの品位を下げる行為として捉えることはない。と同氏は 付け加えた。
日本の学年度はおよそ11か月に及び、他国の大半よりも長い。
授業時間も他国に比べて長い。 通常、学校の始業時刻は 午前8時で、終業時刻は午後4時である。教師の勤務時間は午後5時までだが、午後7時まで学校に残ることもある。
学校の休み期間は他国よりも短い。春休みと冬休みはそれぞれ10日未満で、夏休みは40日から45日程度である。