
モスクワ: ロシア、ドイツ、イギリスは木曜、中東諸国に対し自制を促し、イスラエルは、イランによる報復の脅威に苛まれる同地域において「安全保障上のあらゆる必要を満たす」準備を進めていると述べた。
テヘランに就航している、2社の西側航空会社のうちの1社であるドイツの航空会社ルフトハンザは、イランの首都へのフライトの運休を延長し、ロシアは中東への渡航に警告を発した。
イランは、4月1日に在ダマスカスイラン大使館を空爆し、イスラム革命防衛隊司令官2人と他5人の隊員が死亡した空爆への報復を誓っており、ガザ紛争ですでに緊張状態であった地域の状況を悪化させている。
イスラエルはこの攻撃の責任を認めていないが、イランの最高指導者ハメネイ師は水曜に、イスラエルは「罰せられなければならないし、そうなるだろう」と述べ、これはイラン国内への攻撃に等しいと警告した。
国連安保理がこの空爆を非難し、加害者を裁いていれば、「イランがこの不正な政権を罰する必要性」を回避できたかもしれない、といイランの国連代表部は木曜に述べた。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルはガザでの戦争を続けているが、他の場所でも安全保障の準備を進めていると述べ「我々に危害を加える者は、誰であっても報復する。防衛的にも攻撃的にも、イスラエルのすべての安全保障上の必要を満たす用意がある」と、空軍基地訪問後に発言した。
2024年4月1日、イスラエル軍の空爆によって破壊され、イスラム革命防衛隊の司令官2人と隊員5人を含む少なくとも13人が死亡した、ダマスカスのイラン大使館の空爆の様子。(AP)
イランは、イスラエルの空爆に対し、大きなエスカレーションを避けるような形で対応し、性急な行動はとらない、とアメリカに通告している、とイランの消息筋が語った。
ガラント国防大臣は、オースティン米国防長官に対し、イスラエルはイランによるいかなる攻撃にも直接報復すると語った。
ガザ戦争が勃発して以来、紛争は中東全域に広がっており、イランの支援を受けた武装勢力がパレスチナへの支援を表明し、レバノン、イエメン、イラクから攻撃を仕掛けている。イランはイスラエルやアメリカとの直接対決を避け、武装勢力への支持を表明している。
ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は、イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相に対し、さらなるエスカレートを避けるために「最大限の自制」を促すよう呼びかけた。
ロシア外務省は、中東、特にイスラエル、レバノン、パレスチナ地域への渡航を控えるよう国民に伝えた。
ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は記者会見で「今この地域の情勢を完全に不安定化させないように自制を保つことが、誰にとっても非常に重要だ」と述べた。
誤算の可能性
イギリスのデービッド・キャメロン外相は木曜、イランは中東を紛争に巻き込むべきでないと、イランのアブドラヒアン外相に明言したと述べた。
「私は、さらなる暴力につながる誤算の可能性を深く懸念しています」とキャメロン外相はXで投稿した。
米国務省のマシュー・ミラー報道官は、アントニー・ブリンケン国務長官が「事態の悪化は誰の利益にもならないこと、各国はイランにエスカレートしないよう、働きかけるべきことを明確にするため」トルコ、中国、サウジアラビアの外相らに電話したと述べた。
ジョー・バイデン大統領は水曜、イランが「イスラエルに重大な報復」を仕掛けると警告していると述べ、ネタニヤフ首相に「イランと武装勢力の脅威に関し、イスラエルの安全保障に対する我々の支援は鉄壁だ」と語ったという。
米国は、イランによるイスラエルへの報復を警戒しているが、アメリカを戦争に引き込むほど大きなものではない、と米国政府高官は木曜夜に述べた。
イランはOPECグループ第3位の産油国であり、木曜の原油価格は6ヶ月ぶりの高値に近い水準で推移した。
水曜夜、イランの通信社がXで、テヘラン上空が軍事訓練のために閉鎖された、とするアラブ語の報道を行ったが、その後報道を削除し、そのような報道を行ったことを否定した。
ルフトハンザ航空は、4月13日以前にテヘランに就航することはないだろうと述べた。オーストリア航空は、木曜日のフライトは予定しているが、乗務員が乗り継ぎのために降機することを避けるため、時間を調整していると述べた。
イランの空域は、エミレーツ航空とカタール航空の、ヨーロッパと北米路線にとって重要なオフライトルートでもある。
テヘランに就航している航空会社、エミレーツ航空、カタール航空、トルコ航空、アエロフロート・ロシア航空、エア・アラビア航空にコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。
ロイター