
トリポリ:リビアが新型コロナウイルスの症例を初めて報告した。これは内戦により公的医療制度が著しく劣化したこの北アフリカの国で、とりわけを深刻な悩みとなっている。
2011年、長期にわたる独裁者、ムアンマル・アル=カダフィー大佐の政権が崩壊し、トリポリを拠点とする国民合意政府(GNA)と東部を拠点とした元国軍将校の実力者、ハリファ・ハフタル氏に忠実な民兵組織の2つに勢力が分割されて以来、リビアはずっと混乱から抜け出せずにいる。
国連の支持を受けているGNAの厚生大臣は3月17日、「リビアで初めての新型コロナウイルス感染」を報告したが、その症例の詳細は伝えなかった。
その患者を「治療するために必要な措置は講じた」と、アハメド・ベン・オマール大臣はオンライン上の声明で簡潔に述べた。
国立疾病管理センターの代表者、バドレディン・アル=ナジャール氏は、患者が1週間前にチュニジア経由で、サウジアラビアから帰国したと述べた。
この最初の症例が発見される前でさえ、ライバルの両陣営が夜間外出禁止令や、レストランとカフェの閉鎖など、COVID-19パンデミックの予防措置を講じ始めていた。
しかしこのライバル陣営同士は、首都南部の主戦場で戦い続けてきた。そこでは24日にも、激しい重爆撃の音がきこえていた。
このパンデミックが引き起こす危険性は、とりわけリビアで深刻となっている。ここでは、ほぼ1年前にハフタル氏がトリポリへの攻撃を開始して以来、治安・人道的状況はさらに悪化してしまっている。
この内戦によって、1,000人以上が死亡し、150,000人が追放された。1月12日、脆弱で壊れやすい停戦が発効したが、両者がお互いを非難して内戦は継続している。
数日前、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「リビアでの人道的状況が既に悲惨であることと、起こり得るCOVID-19パンデミックの影響」を挙げて、GNAとハフタル軍の両方に停戦を守るように促した。
AFP通信