
カンヌ: 金曜日にレッドカーペットを歩いたイラン人監督モハメド・ラスーロフは、映画祭の数日前に母国での実刑判決を逃れていた。
最高賞のパルムドールを争う『The Seed of the Sacred Fig(原題)』のガラ上映の前後には、スタンディングオベーションが沸き起こった。
「抑圧と独裁の装置全体がイランから消滅することを願っています」と彼は満員のカンヌ会場で語り、映画の出演者たちの写真を振りかざした。
わずかな予算でイランのアンダーグラウンドで製作された本作は、2022年から23年にかけてイランを震撼させた「女性、生命、自由」デモによって家庭生活を引き裂かれた検事の物語である。
金曜日はカンヌ国際映画祭の上映最終日であり、土曜日には『バービー』のグレタ・ガーウィグ監督率いる審査員団によって、22作品の中から受賞作が発表される。
ラズーロフ監督は、イラン国内からこの最新作のカンヌ国際映画祭への出品を取りやめるよう圧力を受けていたが、制作中に「国家安全保障に反する共謀罪」で新たに8年の実刑判決が下されることをすでに知っており、国外逃亡の計画を練っていた。
彼は金曜日、娘とフランスに亡命中のイラン人俳優ゴルシフテ・ファラハニとともにプレミアに出席した。
プレミアの後、ラズーロフ監督は「この映画が作られることを許してくれたすべての人たち、つまりここにいる人たち、そして来ることを阻まれた人たち」のことを思っていると語った。
イランの支配者に対する率直な批判者であるラズーロフ監督は、その妥協のない政治的映画によってすでに2度の服役を経験し、2017年にはパスポートを剥奪された。
国外に出るために、国境の村々を移動しながら28日間を費やしたと、彼はデッドライン誌に語った。
「イランで刑務所に入って良かったことは、そのような状況でも自分を助けてくれる様々な若者たちに出会ったことです」と彼は同誌に語った。
アニメーション映画としては、2008年の『バシールとワルツを』以来となるパルムドール候補である。
アカデミー賞受賞作 「The Artist 」のミシェル・ハザナヴィシウス監督によるこの作品は、ユダヤ人の両親をアウシュビッツに運ぶ死の列車から安全な場所に投げ出された双子の男の物語である。
第77回を迎える世界的に有名なこの映画祭では、セックス、ダークサイド、そして#MeToo関連の問題が多く取り上げられている。
木曜日にプレミア上映された『All We Imagine as Light(原題)』も、後発の有力作品だ。
30年ぶりにインドから出品されたこの作品は、ムンバイに移住した2人の看護師をモンスーンを舞台に詩的に描いたもので、ガーディアン紙は「夢のような5つ星の勝利」と評した。
メキシコの麻薬組織のボスが性転換するという大胆なミュージカル『エミリア・ペレス』も好評だ。
デミ・ムーアは、年齢を重ねても完璧な肉体を維持しようとする女性たちのプレッシャーを描いたグロテスクなホラー映画『The Substance』での「大胆不敵」な演技が絶賛され、主演女優賞の本命候補に浮上した。
ニューヨークのエロティック・ダンサーが大金持ちの顧客と結ばれるが、彼のロシア人オリガルヒの両親の怒りに直面するという、生々しく、時に滑稽な物語である『Anora』も高い評価を得ている。
フランシス・フォード・コッポラ監督の野心的な寓話『Megalopolis』には称賛の声があるものの賛否両論があり、ドナルド・トランプ氏の伝記映画『The Apprentice』は前アメリカ大統領から法的脅威を受けると同時に高い評価を得ている。
また金曜日には、ジョージ・ルーカスが名誉パルムドールを受賞するために来場した。
「スター・ウォーズ』の生みの親であるジョージ・ルーカスは、「評価されるのはいつだって素晴らしいことだ」とコメントした。
「スター・ウォーズ」の生みの親であるジョージ・ルーカスによると、「賞という点では、僕は賞を取るような映画は作っていない」とのことだ。
AFP