
エジプト、アル・アーリシュ: 食糧と水を積んだ何百台ものトラックが、灼熱のエジプトの道路で立ち往生している。中には2ヶ月近くも、戦争で荒廃したガザに必要な人道物資を届ける許可を待っているトラックもある。
ガザとの国境から約50キロの地点で、小麦粉や水などの援助物資を積んだトラックが、埃っぽい道を縦横に走っている。運転手たちは、エジプトの夏の灼熱の中、数週間待ち続けているという。
イスラエルとパレスチナの過激派組織ハマスによる9ヶ月間の戦争の後、この立ち往生はガザの悲惨な人道危機を悪化させている。援助団体は、包囲された沿岸部全域で飢饉が発生する危険性が高いと警告している。
シナイ半島にあるエジプトのアル・アリーシュ郊外に停車していたトラック運転手たちは、イスラエルが5月にガザとエジプトの国境への攻勢を拡大して以来、人道物資を届けることができないでいると言う。
食料の中には廃棄せざるを得ないものもあるという。
「神に誓って言うが、この物資と我々はここに来て50日以上も待機しています」
「私たちは引き返さなければなりませんでした。この積荷が期限切れになるか、どうなるかは神のみぞ知るです」
イスラエル軍は5月、ガザ南部の都市ラファへの攻撃を開始した。ガザとエジプトを結ぶラファ検問所は、ガザ住民にとって外界との生命線であり、援助物資の輸送や患者の避難を可能にしているが、それ以来閉鎖されている。
エジプト、米国、イスラエルが関与する協議はラファの再開に失敗しており、エジプトはガザ側の国境にパレスチナ人の存在を復活させることを望んでいる。イスラエル国旗は現在、エジプトとの国境沿いで破壊されたガザの建物に掲げられている。
「私たちはこの積荷を届けるために、1カ月以上もここに足止めされている」トラックの運転手の一人、アーメド・カメルさんは、車のそばでお茶を飲みながらタバコを吸っていた。
「いつ入国できるのか?今日か?明日か?明後日か?神のみぞ知る。私たちが運んでいるものは持ちこたえられるのだろうか、それともほとんどが腐ってしまうのだろうか」
援助物資や商業物資は、他の陸路国境越えや空輸、海路でガザに入っているが、援助団体や欧米の外交官は、物資は必要量をはるかに下回っていると言う。ドライバーたちは、イスラエルの許可を待っているという。
困難
イスラエルによるラファ攻撃以前から、ガザでの援助物資の流通は困難だった。イスラエルは、ハマスに物資が届くのを防ぎたいとして、ガザへの物資の搬入を制限している。また、イスラエル軍の空爆により、援助隊が被弾し、援助関係者が死亡したこともある。
また、ガザ内のパレスチナ人ギャングが、約230万人のパレスチナ人の領土に入る援助物資や商業物資を盗もうとしているとも伝えられている。自暴自棄になったパレスチナ人たちは、トラックを圧倒し、必要とされる人道物資を奪っていった。
イスラエル外務省の高官は、エジプトでの援助物資の滞留は、ケレム・シャローム検問所のガザ側に積み上げられた人道援助物資が原因であり、トラック1,200台分の援助物資が滞留していると述べた。
この当局者は、イスラエルがガザへの物資の入国を促進し続けている一方で、国際的なグループによって運営されているガザ国内の流通ネットワークはここ数カ月で「混乱」していると述べ、地元のパレスチナ人犯罪組織とハマスのせいだと非難した。
ガザでの援助調整を監督するイスラエル軍は、イスラエルとエジプトから全人口分の食糧を受け入れていると述べている。また、援助機関がイスラエルからのものも含め、一度通過点を通過した食料の輸送に「困難」に直面していることも認めている。
ロイター