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レバノンの難民キャンプにいるパレスチナ人とシリア人、コロナに備える

レバノンでは、数十万人のパレスチナ人が難民キャンプで暮らしている。そこは数十年でにぎわった地域になった。そして、少なくとも150万人のシリア人が、隣国の戦争から逃れて生活している。(資料写真/AFP)
レバノンでは、数十万人のパレスチナ人が難民キャンプで暮らしている。そこは数十年でにぎわった地域になった。そして、少なくとも150万人のシリア人が、隣国の戦争から逃れて生活している。(資料写真/AFP)
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05 Apr 2020 09:04:35 GMT9
05 Apr 2020 09:04:35 GMT9
  • これまでのところ、キャンプの外で暮らすパレスチナ人1人と、シリア人3人が新型コロナウイルス陽性と診断されている。
  • 水などの基本的なサービスが行き届いていない、テント式のキャンプのような窮屈な住居に住むパレスチナ人やシリア人の難民は、特にこの病気に罹患しやすい。

ベイルート:レバノンでは、支援団体が援助のために動員される中、超満員で荒廃した難民キャンプに暮らす数十万人のパレスチナ人やシリア人が新型コロナウイルスに備えている。

レバノンでは、数十万人のパレスチナ人が難民キャンプで暮らしている。そこは数十年でにぎわった地域になった。そして、少なくとも150万人のシリア人が、隣国の戦争から逃れて生活している。

当局によると、これまでのところ、レバノン全土で520人が感染し、17人が死亡しているのに対し、キャンプの外で暮らすパレスチナ人が1人、シリア人は3人、新型コロナウイルス陽性と診断されている。

しかし、水などの基本的なサービスが行き届いていないテント式のキャンプのような窮屈な住居に住むパレスチナ人やシリア人の難民は、特にこの病気に罹患しやすい。

「一番心配しているのは……自宅での隔離をするのが非常に難しい、超満員のパレスチナ難民キャンプでコロナウイルスが感染拡大することです」と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のスポークスマン、Huda Samra氏は述べた。

彼女によると、同機関はキャンプ内に「隔離センター」を設置し、必要な人を隔離することを検討している。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、レバノン東部でたくさんのキャンバス地のテントの中の窮屈な場所に住むシリア人のために、同様の建造物が設置されている。
しかし、悪化している患者はレバノンの集中治療室に移さなければならず、そこにはベッドが十分にないのではないかと難民援助員たちは心配している。

支援団体も、シリアとパレスチナの両コミュニティーで基本的な衛生に対する意識を高めるための取り組みを強化している。
ノルウェー難民評議会は、水の供給を増やし、両コミュニティーに石けんと漂白剤を供給したと述べている。

スピーカーを搭載した車がパレスチナ人キャンプを巡回し、手洗いをし、顔に触れないようにというメッセージを大声で伝えている。

AFP通信のカメラマンは最近、ベイルートのシャティーラ難民キャンプの暗く細い通りで、スカイブルーの防護服を着たボランティアたちが消毒剤を吹き付けているのを見た。
公式統計によると、17万4000人以上のパレスチナ人がレバノンに住み、そのほとんどがレバノン治安部隊の力の及ばない、パレスチナ派閥が支配するキャンプに居住している。

しかし、非公式の推計では、パレスチナ人の数は50万人に上る可能性がある。彼らの先祖は1948年のイスラエル建国から逃れてきた。
そして、レバノンが言うには、9年前にシリアで内戦が勃発して以来、150万人のシリア人を受け入れており、100万人近くがUNHCRに難民として登録されている。

シリア難民の多くは赤貧の暮らしをしており、支援団体からの援助に頼っている。

どちらの地域でも、国連は必要に応じて検査や入院の費用を支払うことを約束している。

そして、難民の中で患者が急増した場合、レバノンの医療システムにさらなる負担を掛けることになるため、パンデミックに対応するために既存の病院を強化する取り組みが行われている。

「私たちは保健省と協力して病院を支援しています」とUNHCRのスポークスマン、Lisa Abou Khaled氏は述べた。

「私たちは、全コミュニティー、レバノン人と難民に十分に対応できるよう、追加の集中治療室を含む、追加のベッドを備えた追加の病棟を創設します」と彼女は述べた。

こうした準備にもかかわらず、非政府組織は、難民に対する差別が新たな課題になることを懸念している。

レバノンの人口は450万人だったが、2011年のシリアでの開戦以来、3分の1増加している。

多くのレバノン人は、レバノンの経済的苦境をシリア難民のせいにしており、当局はたびたび彼らに帰国するよう促してきた。

「一部の報道では、非衛生的な環境で生活する難民と新型コロナウイルスとの関連が指摘されています」とレバノンのノルウェー難民評議会の擁護・情報アドバイザー、Elena Dikomitis氏は述べた。

「私たちにとって本当に重要なことは、人々が既存の差別や汚名のために症状を隠したり、治療を受けるのをためらったりしないようにすることです」

ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、レバノンのいくつかの自治体は新型コロナウイルスを理由に、シリア難民の移動を制限するために外出禁止令を出している。
同組織は、そのような行動は治療をさらに妨げる可能性があると警告した。

パレスチナ人は、一部のレバノン人から1975~90年の内戦を引き起こしたとして非難されるが、就労が制限されており、多くのシリア難民のように、日銭でその日暮らしの生活を送っている。

新型コロナウイルスを食い止めるために全国的に都市封鎖されたことにより、経済がさらに打撃を受け、仕事に就けなくなっている今、パレスチナ人は支援を求めている。

緊急救援対策の一部として、UNRWAは「数週間以内に限定的な現金による援助を行う予定です」と同機関のSamra氏は述べた。

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