
ワシントン/カイロ:イスラエルは、停戦とハマスによる人質解放のための計画の変更を求めており、9ヶ月に及ぶ戦闘で壊滅的な打撃を受けたガザ戦争を終結させるための最終合意を複雑化している、と西側当局者、パレスチナとエジプトの情報筋が語った。
イスラエルは、停戦開始時に避難民のパレスチナ人がガザ地区北部に帰還する際には審査を受けるべきだとしており、南部に避難した市民が自由に帰還できるようにするという合意から反れたものだ、と複数の情報筋はロイターに語った。
イスラエルの交渉担当者たちは、ガザ北部に帰還する民間人を審査する仕組みが欲しいのだという。西側政府高官は、「イスラエルは、住民がハマスの戦闘員を支援することを恐れているのです」と語った。
パレスチナとエジプトの情報筋によると、ハマスはイスラエルの新たな要求を拒否したという。
エジプトの情報筋によると、もうひとつの難点は、イスラエルがエジプトとの国境をガザに残すことを要求していることで、エジプトはこれを、両国の最終合意の枠組みから外れているとして却下した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の執務室、ホワイトハウス、エジプト外務省は、イスラエルの要求についてコメントを求めたが、即時回答は得られなかった。
「ネタニヤフ首相は、まだ時間稼ぎをしている。今のところ、その姿勢に変化はありません」とハマス高官のサミ・アブ・ズーリ氏は語った。
ジョー・バイデン米大統領が、木曜日にワシントンでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と最終合意に向けた会談を行い、停戦を強く求めた。
ホワイトハウスのジョン・カービ報道官は、「かつてないほど合意に近づいている」としながらも、まだ協議の擦り合わせは必要と続けた。
ネタニヤフ首相は2日、米議会での演説で、イスラエルはガザで拘束されている人質の解放を実現するために「懸命な努力を続けている」と述べた。
ロイターの取材に応じた情報筋は、停戦と、ガザ紛争の引き金となったハマス主導の10月7日のイスラエル奇襲攻撃で拘束された人質の解放を最終決定するための交渉が膠着状態にあるため、匿名を条件に取材に応じたという。
イスラエルの集計によれば、この奇襲攻撃でハマスは1,200人を殺害し、250人以上を拘束した。約120人の人質がまだ拘束されているが、イスラエル軍はその3分の1が既に死亡したと考えている。
ガザ保健当局によれば、39,000人以上のパレスチナ人が死亡し、領土の大部分が空爆により破壊され、人道的災害を引き起こした戦闘によって、ガザの230万人のほぼ全住民が避難を余儀なくされたという。
米国、カタール、エジプトは、イスラエルの提案に基づき、ジョー・バイデン米大統領が推進する枠組みを中心に、イスラエルとハマスの間接的な協議を仲介している。
この枠組みは3つの段階を定めており、第1段階では6週間の停戦と、イスラエルが拘束している数百人のパレスチナ人捕虜と引き換えに、女性や高齢者、負傷者の人質を解放することを求めている。
バイデン氏が「敵対行為の恒久的な終結」と呼ぶ第2段階は、第1段階で協議が継続される。大規模な復興は第3段階で開始されるだろう。
合意へのこだわり
米政府高官は数週間前から、合意は間近だがハードルは残っていると述べてきた。
イスラエル政府関係者は、今月初めにカイロで行われた最後の交渉の席で、ガザ北部に帰還する民間人を審査する仕組みを要求したと、欧米とエジプトの情報筋は述べた。これは「予想外だった」と欧米の関係者は語った。
イスラエルが懸念しているのは、ハマスの戦闘員が北部に戻ってくることだけでなく、ガザを統治するグループに秘密裏に支援を提供する民間人の「工作員」である、と同高官は語った。
イスラエル側は、エジプトとの国境に沿った9マイル(14キロ)の土地から軍を撤退させることに難色を示している。
イスラエル国防軍は5月、この戦略的な一帯にハマスが武器や物資を運ぶ密輸トンネルがあるとして、この一帯を占領した。エジプトは、数年前にガザにつながるトンネル網を破壊し、密輸を防ぐ緩衝地帯と国境防壁を整備したと言う。
アメリカ政権高官は、ネタニヤフ首相とバイデン大統領との会談に先立ち、水曜日に記者団にブリーフィングし、最終的な合意に近づいていると発表した。
「ハマス側への条件もあれば、イスラエル側への条件もある。今後1週間で、それが明らかになるだろう」と同高官は語った。ハマス側に求められる条件の中には、「解放される人質」も含まれている、と同高官は続けた。ズーリ氏はこの主張を否定し、「米政権は、ネタニヤフ首相が停戦交渉を頓挫させたことをごまかそうとしている。これは真実ではない」と語った。
ロイター