
東京:日経アジアによると、中東諸国が中国との関係を再考し、ドナルド・トランプ氏の再任で北京との緊張の激化が予想される中、日本や韓国などの国々に目を向け始めている。
主要な石油輸出国であるサウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)は、伝統的に親米派と見られてきたが、中国からの働きかけにもかかわらず、ビジネスパートナーの多様化を目指してきた。
これらの国々は、日本との経済的な結びつきの歴史が長く、エネルギー輸出、自動車輸入の他、近年では協力の分野が急速に拡大している。
一方、中国はインフラ建設や工業製品の輸出を通じて地域での存在感を急速に高め、日本を抜いて最大の原油購入国となった。
UAEとサウジアラビアは最近、AI(人工知能)やその他の先端技術の導入に注力しており、エネルギー輸出への依存を減らし、経済の多様化を図るために巨額の資金を投じている。
アメリカがAIやその他の最先端分野を支配する中、中国との関係を冷却させ、技術の流出を防ぐよう圧力が強まっている。
4月、マイクロソフトはアブダビのAI開発会社G42に15億ドルを投資することを発表した。米国メディアによると、G42は、Huawei(華為技術)を含む米国がブラックリストに載せた中国企業との関係を断つことを約束したと報じられている。
また米国政府は、Nvidiaなどの半導体大手が製造するAIチップのサウジアラビアや中東他国への輸出を遅らせているとも報じられている。
宇宙開発分野でも、UAEの月探査車を中国の無人月探査機「嫦娥7号」に搭載する計画が米国の規制により中止されたとされている。
「中東諸国はもはや米国だけに依存はできないが、中国ともあまり近づきすぎることはできない」と、日本の中東専門家が日経アジアに語っている。「日本に注目が集まっているのはそのためです」
三菱重工業やNECを含む20社以上の日本企業が最近UAEを訪れ、宇宙技術を売り込んでいる。日本はアジアの技術先進国国であり、米国に近い立場にあるため、中東が中国から距離を置く中で受注の可能性が高い位置にいる。
この動きは他のアジア諸国にも広がる可能性がある。韓国は5月にUAEとの経済パートナーシップ協定に署名し、自動車や武器の輸出が促進された。一方、インドもサウジアラビアとの協力を強化し、デジタルインフラに関する協定を締結している。